トレンビータには弾頭を搭載するタイプと、弾頭を搭載せず、燃料タンクを増設して射程を伸ばしたデコイ(おとり)用のタイプがある。おとり型のトレンビータはウクライナの機動部隊によって一度に何十機も発射され、ロシア側の防空システムの注意をそらしたり消耗させたりして、弾頭搭載型のトレンビータなどが防空網を突破して目標を攻撃しやすくするとみられる。
トレンビータの開発関係者は地元メディアのユーロマイダン・プレスに、おとり型トレンビータはロシア側に「見えて撃たれてほしい」と述べている。そうできれば「ウクライナ側を利することになる」からだ。
トレンビータはウクライナのドローンで最も遠くまで飛ぶものではない。その栄誉は、1600kmかそこら航続できるらしいアエロプラクトA-22軽量スポーツ機改造型などほかの機種に与えられる。一方で、トレンビータは航続距離、破壊力、コストのバランスが最も優れているのかもしれない。前線から150kmくらい以内のロシア軍の部隊や補給線、航空基地、防空システムはすべて、トレンビータによる大規模な襲撃に繰り返しさらされるようになる危険性がある。
ウクライナが世界をリードするドローン強国になるなかで、ウクライナによるドローン開発では「大量」というのが合言葉になっている。ウクライナの技術者たちは、AI(人工知能)をうまく利用して、少人数のチームでドローンの大規模なスウォーム(群れ)を操縦できるような制御方法の開発にも取り組んでいる。
こうした方法により、ウクライナ軍は最も貴重で希少なリソースである人員を最も有効に活用し、最も豊富でますます手ごろな価格で入手できるようになっているリソースであるドローンの使用をさらに拡大できる。ウクライナのミハイロ・フェドロウ副首相兼デジタル変革相は同じフォーラムで、ドローンスウォーム技術の開発にはすでに「約10社」が取り組んでいると
話している。
ドローンはウクライナにとって最良の武器になっている。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるTatarigamiは「2024年以来、前線の損害の大半はドローンによってもたらされている。ドローンは、国産部品や中国などからの輸入部品を使って国内で生産されている」と
説明している。
ウクライナがさらに孤独な戦いを強いられ、だが同時により効率的に戦おうとするなかで、ドローンの重要性は日増しに高まっている。
(
forbes.com 原文)