宇宙

2025.02.22 10:00

次は11年後、まもなく終わる「惑星パレード」 7惑星そろい踏みを見よう

Shutterstock.com

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夜空に複数の惑星が同時に見える現象を俗に「惑星パレード」と呼ぶが、今週末に日没直後の空で拝める惑星パレードは、専門家の試算によれば100年間に数回しか目撃できない貴重な眺めだという。

2025年に入って以降、宵の空には6つの惑星が並び、うち4つは肉眼で見える。そして、世界時計アプリtimeanddate.comの科学チームによると、2025年の惑星パレードは2月23日(日)~26日(水)ごろに「最後の見ごろ」を迎える。ただし、観測条件はちょっとばかり厳しい。

水星がパレードに加わる

太陽系には地球を含めて8個の惑星がある。このうち太陽に最も近い水星が、日没後のごく短時間ながら西の地平線の上に姿を見せるようになるため、23日からの4日間は、全天に7個の惑星が勢ぞろいする。足下に地球があることを考えれば、太陽系惑星のすべてが視界に存在するともいえるのだ!

火星と木星は南東~南の空の高い位置に見え、金星は群を抜いて明るく西の空に輝いている。土星と水星は金星の下方に位置し、海王星と天王星は肉眼ではほぼ見えない。

7惑星そろい踏み、次は11年後

天体力学の博士号をもつtimeanddate.comのフランク・トヴェターは、「すべての惑星が適度な暗さのある空で同時に地平線上にある」確率を調べた。

この条件に適合する時間帯は、太陽が地平線より6度以上沈み(「航海薄明」と呼ばれる)、すべての惑星(天王星や海王星など肉眼では見えない惑星も含む)が地平線から6度以上高い位置にある、というものだ。試算では、このような「天文観測に適した惑星パレード(dark-sky planet parade)」の条件が次に揃うのは2036年で、その次は2060年になるとの結果が導き出された。

絶好の観測チャンスはいつ?

米テキサス州ヒューストンにあるライス大学のパトリシア・リーフ教授によると、7つの惑星のそろい踏みを観測し、うち5つを肉眼で見る絶好のタイミングは、米国では24日と25日(日本時間の25日と26日)になりそうだ。「それでも水星と土星は、夕焼けの中で見えにくいだろう」と教授は付け加え、西の低空に並ぶ2つの惑星のうち、明るいほうが水星だとアドバイスした。

この2日間を過ぎると、水星は高度を上げて見えやすくなるが、土星は太陽の輝きの中に隠れ、地平線の下に沈んでしまう。なお、3月1日には水星のすぐ上に極細の月が現れるが、西の地平線まで見通せる場所でないと観測は難しい。

「惑星直列」という表現は間違い

惑星パレードは「惑星直列」や「惑星整列」と呼ばれることもあるが、これは初歩的な誤りだ。たとえ夜空にすべての惑星が同時に見えていても、実際には一直線に整列しているわけではない。

太陽系の惑星はすべて、黄道面と呼ばれる平面に沿って太陽の周りを公転している。太陽が東から昇って西へ沈むのと同じように、惑星も東から西へと黄道(天球上における太陽の通り道)に沿って移動する。このため、地上から眺める惑星は常に黄道付近に位置し、結果的に一列に並んで見える状況が生まれるのだ。

何にせよ、地球上で夜を迎えた地域で同時にすべての惑星を視界に収めることができる、というのは注目に値する事実には違いない。

米ノースカロライナ州スパータで2025年1月25日に撮影された惑星パレード。写真左側に火星、中央に木星、右側に土星と金星が、黄道に沿って並んでいる(Peter Zay/Anadolu via Getty Images)

米ノースカロライナ州スパータで2025年1月25日に撮影された惑星パレード。写真左側に火星、中央に木星、右側に土星と金星が、黄道に沿って並んでいる(Peter Zay/Anadolu via Getty Images)

惑星パレードはいよいよフィナーレへ

6つの惑星が夜空に並んで2カ月ほどになるが、この惑星パレードはまもなく幕を閉じる。29年かけて太陽を周回している土星は、3月12日に地球から見て太陽の真後ろに回る「合(ごう)」を迎え、地上からは見えなくなる。また、225日という短い公転周期で現在地球に接近しつつある金星も、3月23日に太陽と同じ方向に位置する「内合」となり、太陽光のまぶしさの中に隠れてしまう。そして、夜空に肉眼で見える惑星は火星と木星だけになる。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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