自然冷媒への挑戦はある意味でやむにやまれぬ理由から始まったが、今では社会的使命へと昇華した。立ち遅れている日本のみならず、東南アジアにも輸出を始めて自然冷媒への転換を進めている。さらにその先に見据えているのは「熱のネットワーク化」だ。
「CO2冷凍機の排熱を利用して除湿するシステムを開発しました。今は化石燃料を用いるボイラーの代わりになる新型のCO2ヒートポンプ開発にも取り組んでいます。これらを組み合わせて工場全体、さらに地域全体の熱をトータルコーディネートする会社になりたい。それが社会全体のCO2削減につながると信じています」。
原田克彦◎1968年、大阪府生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、ニューヨーク大学大学院修士課程修了。1994年NHKに入局し、報道局記者として、名古屋放送局で事件取材、政治部で首相官邸や自民党の取材を担当。2004年に日本熱源システム入社、10年から代表取締役社長。
ここがすごい!
CO2冷凍機のトップランナー
1. 自然冷媒で環境負荷を軽減
日本熱源システムは冷媒にCO2を用いた日本で初めての産業用冷凍機「スーパーグリーン」を開発・製造。CO2の地球温暖化係数を1とした場合、冷媒としていまだに多く用いられるフロンガスは3920倍になる。
2. 「自前主義」からの脱却
冷凍機の心臓部にあたる圧縮機(コンプレッサー)は、あえて自社で製造せず、海外サプライヤーによる世界最高峰の製品を搭載する。F1カーのように、最高の部品を組み合わせ、制御システムに注力することで躍進。
3. 気温40℃以上でも稼働する独自の制御システム
CO2は気温30℃を超えると制御が難しくなる。そのため、CO2冷凍機は高温多湿の日本やアジアでは不向きとされていたが、日本熱源システムはそれをクリア。20〜40%の省エネも実現した。