ウクライナ側は続いてFPV(一人称視点)自爆ドローンを現場に送り込んだが、ロシア軍ドローンチームの2人はHIMARSの砲撃で死亡したのか退避したのか、トラック周辺に姿がなかった。自爆ドローンは後部ハッチからトラックに突入し、爆破する。さらに2機目の自爆ドローンが、地面に放置されていたオルラン-10に体当たりする。
「自由のための戦いは続く!」と情報総局は宣言している。
とはいえ、ウクライナによるこの戦いは厳しいものになりつつある。すべてを見て、すべてを攻撃してくるウクライナ軍のドローンに匹敵するほどのドローンを運用しようと必死なものの、ウクライナ側のジャミング(電波妨害)の克服に苦労しているロシア軍は、光ファイバードローンの使用を増やしている。無線ではなく、細くて長い光ファイバーケーブルを通じて制御されるこのタイプのドローンにはジャミングが効かない。
そこでウクライナ軍は、ロシア軍のドローンチームを抑制し、ドローンでの優位性を保つべく、米軍が10年以上前、イラクやアフガニスタンで反政府勢力の爆弾製造者に対する作戦で採った戦法をさらに強化して用いている。「爆発の前(left of the boom)」段階をたたくというもので、ロシア軍の
ドローンが発進する前にその操縦士らを除去しようとしている。
だが、米国政治の右傾化がウクライナのこの戦法に影を落としている。トランプはウクライナに対し、HIMARS数十基やそのロケット弾数千発なども含まれる
過去の援助の見返りに、ウクライナのレアアース(希土類)権益の半分、数千億ドル相当を米国に与えるよう迫っている。さらにひどいことに、トランプは、ウクライナがそれに応じない限り今後の援助を保留する可能性もちらつかせている。
権威主義国の侵略者と戦う民主主義国への米国の支援には明白な利益があるにもかかわらず、トランプはそれを無視し、ウクライナへの援助の見返りとして「われわれは何かを得なくてはならない。この金を払い続けることはできない」と述べている。
ウクライナが今回、もう補充できないかもしれないロケット弾をロシア軍のオルラン-10チームへの攻撃に費やしたことは、この攻撃がそれだけ重要だったことを物語っている。だが、トランプの要求がエスカレートするなか、ウクライナ軍はそのうち、ロシア軍のドローンを抑制するために使用している武器の一部を使い果たしてしまい、その結果、ドローンでの優位性を保てなくなる時期が訪れるかもしれない。
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forbes.com 原文)