【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

欧州

2025.02.15 09:00

ロシア軍の「無敵」滑空爆弾、ウクライナが謎の新兵器で撃墜し始める

ウクライナ北東部ハルキウ市でロシア軍の新型滑空爆弾UMPB D-30による空爆現場を訪れた女性(2024年5月5日撮影、Ivan Samoilov/Gwara Media/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ北東部ハルキウ市でロシア軍の新型滑空爆弾UMPB D-30による空爆現場を訪れた女性(2024年5月5日撮影、Ivan Samoilov/Gwara Media/Global Images Ukraine via Getty Images)

ロシア軍の滑空爆弾はこの戦争のゲームチェンジャーになった。安価な無誘導爆弾に展開式の翼と衛星誘導装置を取り付けて、地対空ミサイルの射程外から発射できる精密兵器にしたもので、2024年に生産が急増した。直径20m超のクレーターができるほどの威力があるこの爆弾を、ロシア軍はウクライナ側に月に数千発投下し、大きな人的損害をもたらしている。

しかし、ウクライナは滑空爆弾の脅威への対処法を見つけたのかもしれない。ウクライナ空軍当局者は先週、地元メディアのRBCウクライナに、南部ザポリージャ州で滑空爆弾1発を撃墜したことを認めた。詳細は不明だが、滑空爆弾の迎撃に成功したのはこれが初めてではないという。ウクライナのテレグラム・チャンネルによれば、滑空爆弾を撃墜した謎の兵器は実戦配備が進められつつあり、迎撃数は近く増えると見込まれている。

ウクライナはどのようにしてこの偉業を成し遂げたのだろうか。

滑空爆弾の迎撃はなぜ難しいか

ロシア軍の滑空爆弾はいくつかの理由から難しい目標になっている。最も大型ものは重量が3tもあるが、主に使われているのは500kg以下のもので、翼幅は2mにも満たない。レーダー上で航空機よりはるかに小さいので、追尾も迎撃も難しい。

スティンガーのような短距離防空ミサイルは、目標が発する熱を追いかけていく赤外線誘導方式が一般的だ。ところが、動力を持たない滑空爆弾は高温のジェット排気などを出さないため、赤外線誘導のミサイルでは探知もロックオン(自動追尾)もできない(編集注:新型のUMPB D-30SNはエンジンが追加され、射程が伸びていると伝えられる)。

さらに、滑空爆弾は文字どおり「ハードな(硬い)」目標でもある。エンジンや燃料タンクのような脆弱な部分はないし、薄い金属製の胴体をした航空機と違って、分厚い鋼鉄製の外殻に覆われている。

だが、滑空爆弾への対処を本当に難しくしている原因はその数量にある。滑空爆弾を防空ミサイルで撃ち落とすことは(ときには)可能だが、それを続けていくことはできない。英国のシンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャスティン・ブロンクがBBCで解説しているとおり、ロシア軍の滑空爆弾は従来の方法で撃墜するには数が多すぎるからだ。

「利用できる防空弾薬はあっという間に使い切ってしまうでしょう」とブロンクは語っている。
次ページ > 偵察ドローンやシャヘドへの対処法がヒントになるかも

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事