ロシアはイランで設計された翼幅2.5m、弾頭重量50kgのシャヘド(ロシア名・ゲラニ2)型ドローンによるウクライナへの攻撃を増やしている。しかし、そのほとんど(1月にはおよそ96%)は撃破されるか電子戦で落とされている。対シャヘドでもウクライナのイノベーションはやはり、ポールに設置した何千ものマイクなどで構成するセンサー網と、中央制御ソフトウェアの開発だった。このシステムの「矛先」になるのはサーチライトや機関砲もしくは重機関銃を装備した機動火力グループで、各グループは速度の遅いシャヘドが近づいてくるとしかるべき地点に移動し、迎撃している。
滑空爆弾の解決策は、これら2つを掛け合わせたようなものかもしれない。対滑空爆弾の場合、第一に求められるのは前線付近の陣地を守ることなので、アセットをもっと集中できる。アセットには、飛来する爆弾を探知するレーダーなどのセンサー類や、脅威とそれに最も近い位置にいる防御者を特定する制御システム、何らかの迎撃手段が含まれるだろう。
迎撃手段には、米国が供与しているレーザー誘導のヴァンパイア・ミサイルシステムに似た小型で低コストの誘導ミサイル、ドイツ製スカイネックスのようなコンピューター制御の対空砲、あるいはウクライナのワイルド・ホーネッツが開発したスティング迎撃ドローンのような新型の高速迎撃ドローンなどが考えられる。いずれも、高い命中率を達成するために、NATOが提案しているようなAIも組み込まれているかもしれない。
NATOがイノベーション・チャレンジで評価基準のひとつに挙げているように、拡張性がカギを握る。ロシア軍の滑空爆弾を1発撃墜するごとに人命が救われる。そして、かなりの割合を撃墜できればロシア軍のきわめて重要な攻撃能力を奪い、戦況を変えていくことができる。ロシア軍は前進を遂げるうえで滑空爆弾の火力に頼っているからだ。
滑空爆弾の迎撃システムが成功すれば、ウクライナにとって大きな変化をもたらすことになるはずだ。影響はそれにとどまらない。たとえば、米空軍はJDAM誘導爆弾に大きく依存している。その有効性が急に失われれば、米国の戦争遂行能力も深刻な打撃を受けるだろう。
(forbes.com 原文)


