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ビジネス

2025.02.14 10:15

サンフランシスコ発、日本企業の取締役会に多様性革命を起こす米国人女性

「Japan Board Diversity Network(JBDN)」創設者のTracy Gopal氏(左)と筆者(右) Courtesy of the author

「Japan Board Diversity Network(JBDN)」創設者のTracy Gopal氏(左)と筆者(右) Courtesy of the author

日本企業のコーポレートガバナンス問題が改めて大きな注目を集めている。2021年に行われた金融庁と東京証券取引所(東証)によるコーポレートガバナンス・コード改訂以降、ガバナンス改善に向けた変化は徐々に進んでいるものの、依然として深刻なガバナンス課題を抱える企業が多いことが、最近の一連の企業不祥事問題で浮き彫りになった。ガバナンス改善における一つの有効な処方箋が取締役会の多様性である。政府の「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」によって、東証プライム市場に上場している企業は2025年までに女性役員を最低1人登用し、2030年までに女性比率を3割まで引き上げることが努力義務として求められている。しかし、すでに女性比率が3〜4割に達している欧米諸国に比較すると、日本の取締役会の多様性は依然として後れをとっているのが現状だ。一方、米国ではトランプ新政権のもと、DEI(多様性、公平性、包括性)への反発の動きも見え始めている。

今回は、米サンフランシスコを拠点に、日本の取締役会の多様性を推進するネットワーク「Japan Board Diversity Network(JBDN)」を創設し、運営しているTracy Gopal氏に話を聞いた。
 
吉川:TracyはJBDNの活動を通して、精力的に女性取締役の推進に取り組んでいますが、JBDNの活動概要を教えてください。

Tracy:JBDNは、日本における取締役の多様性とコーポレートガバナンスの向上を推進することを目的に2021年に設立された、女性取締役やシニアエクゼクティブを中心としたグローバルなネットワークです。東証に上場する企業の社外取締役やエクゼクティブとして活躍する日本の女性に加えて、NASDAQやロンドン証券取引所などに上場する企業の取締役を務める女性も参加していますし、またこれから社外取締役を目指す女性も多く参加しています。吉川さんも創設時から参画してくれていますよね。

JBDNでは、大きく分けて2つの活動を行っています。まず、上場企業の取締役として最大のインパクトを生み出し続けるために必要なスキルや知識をお互いに学び合える場を提供しています。これには、コーポレートガバナンスや財務といったトピックの他にも、気候変動、人工知能(AI)、サイバーセキュリティなど、近年企業に大きな影響をもたらしている動きや、投資家との生産的なエンゲージメントについての議論なども含まれます。

もう一つの活動として力を入れているのは、上場企業と未上場企業に対しての社外取締役の採用支援です。JBDNの女性メンバーは、取締役にとって重要なスキル、グローバルな知見、ガバナンスへのコミットメントを有していることで知られており、そのような人材に興味のある先進的な企業が顧客となっています。JBDNの女性たちは日本企業に新たな風を吹き込むチェンジ・エージェントとして活躍しています。

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文 = 吉川絵美

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