今回は、米サンフランシスコを拠点に、日本の取締役会の多様性を推進するネットワーク「Japan Board Diversity Network(JBDN)」を創設し、運営しているTracy Gopal氏に話を聞いた。
吉川:TracyはJBDNの活動を通して、精力的に女性取締役の推進に取り組んでいますが、JBDNの活動概要を教えてください。
Tracy:JBDNは、日本における取締役の多様性とコーポレートガバナンスの向上を推進することを目的に2021年に設立された、女性取締役やシニアエクゼクティブを中心としたグローバルなネットワークです。東証に上場する企業の社外取締役やエクゼクティブとして活躍する日本の女性に加えて、NASDAQやロンドン証券取引所などに上場する企業の取締役を務める女性も参加していますし、またこれから社外取締役を目指す女性も多く参加しています。吉川さんも創設時から参画してくれていますよね。
JBDNでは、大きく分けて2つの活動を行っています。まず、上場企業の取締役として最大のインパクトを生み出し続けるために必要なスキルや知識をお互いに学び合える場を提供しています。これには、コーポレートガバナンスや財務といったトピックの他にも、気候変動、人工知能(AI)、サイバーセキュリティなど、近年企業に大きな影響をもたらしている動きや、投資家との生産的なエンゲージメントについての議論なども含まれます。
もう一つの活動として力を入れているのは、上場企業と未上場企業に対しての社外取締役の採用支援です。JBDNの女性メンバーは、取締役にとって重要なスキル、グローバルな知見、ガバナンスへのコミットメントを有していることで知られており、そのような人材に興味のある先進的な企業が顧客となっています。JBDNの女性たちは日本企業に新たな風を吹き込むチェンジ・エージェントとして活躍しています。