英王立防衛安全保障研究所(RUSI)は2023年5月の報告書で、ロシア軍の攻撃について「使い捨ての歩兵が最初に投入される」と解説している。「チームが防御射撃で撃滅されると、ロシア軍は同じ接近ルートから後続のチームを逐次送り込む。ウクライナ軍はこうした波状攻撃から、弾薬を消費し、防御陣地の位置を露呈し、人員を疲弊させながら、自陣を守り続けなくてはならない」
味方の人的戦力が敵の火力より長く持てば、ロシア側は弱体化したウクライナ側の陣地を制圧できる可能性が出てくる。
ウクライナ軍が同様の戦術を試みる場合、大きな違いは、ロシア軍が擁するような豊富な兵員を欠いているという点だ。そのため、ウクライナ軍は主攻撃に先立って敵陣を探るのに別の方策をとる必要がある。
ウクライナ側に優位性があるドローンが役立っているのは間違いない。ただ、ウクライナ軍による最も成功した攻撃の現場近くに特殊作戦チームがいることは、ロシア側のように自殺的ではない偵察活動を可能にしている別の優位性を示唆しているのかもしれない。
ファナセーエフカへの攻撃の開始地点近くには、ウクライナ特殊作戦軍の独立南部特殊作戦センター(第73海軍特殊任務センター)の部隊が展開している。米海軍特殊部隊SEALs(シールズ)のウクライナ版と言ってもいい同センターは、クルスク州で「敵軍に関する重要情報の収集」などに当たっていると明らかにしている。
Ukrainian soldiers of the 73rd Naval Special Operations Forces Center eliminate North Korean troops in russia’s Kursk region and gather crucial intelligence on hostile forces.
— 73sof_ua (@73centreuasof) January 21, 2025
Here is how they do it.
The footage contains graphic content pic.twitter.com/pPf7Wzd2tx
一貫して十分なマンパワーの確保に苦慮しているウクライナ軍にとって、損害の抑制は必要不可欠なことだ。一方で、まさにそうしたマンパワー不足が原因で、ウクライナ軍によるファナセーエフカ方面への反攻が頓挫する可能性もある。
(forbes.com 原文)