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欧州

2025.02.05 09:00

大半が死傷する「自爆」突撃、余命数日の新兵⋯ロシア軍の人海戦術はいつまで続くか

Shutterstock.com

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ウクライナ東部ドネツク州の都市ポクロウシク周辺で最近、ロシア軍のBTR-82装甲兵員輸送が1両、砲弾で穴だらけの中間地帯を日中堂々と突き進んできた。ウクライナ軍のドローン(無人機)はその様子をずっと監視していた。

BTRは射撃を行いながら走行し、どうにか建物の廃墟にたどり着いた。車内に詰め込まれていたロシア軍の歩兵11人は、敵のドローンが真上にいるとは知らなかったに違いない。車両から降りたとき、自分の余命があと数秒だということも。

ウクライナ軍第5独立強襲旅団のドローンは、不運なロシア兵たちの上に次から次に爆弾を落としていった。11人全員が死亡した。

この小規模で支援もなく絶望的な突撃は、ロシアがウクライナに対して起こして3年近くになる全面戦争のおよそ1300kmにわたる戦線の全般的な傾向を示している。突撃は数分で終わり、突撃兵の大半もしくは全員が死傷する。ロシア軍の多くの新兵や補充兵は前線に送り込まれてから何日もたたないうちに死ぬ。

ロシア軍から脱走し、外国で亡命申請中のあるロシア人男性はモスクワ・タイムズ紙やラジオ・フリー・ヨーロッパなどのメディアに、「18歳のある(ロシア軍)兵士の場合、前線にいたのは20分でした」と語っている。「TNT炸薬を積んだFPV(一人称視点)ドローンが彼に直撃し、それで終わりです。ドローンによってすぐに塵にされてしまうのです」。男性の話では、ロシア兵1人当たりウクライナ軍のドローンが5機あるような場合もあるという。

ウクライナ軍がドローンに関して圧倒的に優位に立っているからといって、ウクライナがこの戦争に勝っているわけではない。しかしそれは、ロシア軍がさらに兵士を動員し、ますます支援の薄い状態で戦闘に投入し続けるなかで、ウクライナが負けるのを防いではいるのかもしれない。

ロシア軍では装甲車両の在庫が払底してきているが、ロシア兵は運が良ければその一両に乗ることができる。運が悪ければ民生用の小型車に乗るか、もしくは歩くことになる。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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