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2025.02.17 09:30

米国で販売される培養肉の現状、AIがその生産に大きく貢献

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培養肉がすでに米国で商品化されていると聞いたら驚くだろうか。

さらに驚くべきことに、こうした培養肉製品がすでにスーパーマーケットに並んでいるかもしれないとしたらどうだろうか。

実は、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている上位2社が、すでに少量ながら培養肉を生産している。そのうちの1社は、年間およそ5万ポンド(約2万2700キログラム)を製造していると報告している。とはいえ、3億5000万人以上の人口を抱える米国の中では決して多い量ではない。

初期段階の培養肉の大半はペットフードに回されている。ただし、カリフォルニア州の2社、GOOD Meat(グッド・ミート)とUpside Foods(アップサイド・フーズ)は、この種のイノベーションを切り開く先駆的企業として注目に値する。

成長を促す原動力

米国の食品市場を分析する多くの専門家は、培養肉には大きな潜在力があると考えている。

AZO Life Sciencesのベネデット・カファリは、「培養肉の開発は、従来の畜産が抱える環境面、倫理面、公衆衛生面での課題に対して、革新的な解決策になり得ます」という 。アナリストらの推計によれば、この製品の現在の市場価値は2億ドル(約302億8000万円)とされ、2030年まで毎年15%の成長が見込まれている。「温室効果ガスの排出量や土地・水の使用量、そして抗生物質への依存を大幅に削減することで、培養肉は従来の食肉生産に代わる持続可能で安全性の高い選択肢を提供できるのです」と語る。

なぜ培養肉が注目されているのか

最近の講演で、MIT Capital Partnersのアナリストであるグレイス・チョイは、消費者が培養肉を受け入れる可能性を語った。

チョイは特に家禽(鶏)に注目し、家禽が温室効果ガスの排出、感染症、水質汚染に大きく影響していると指摘した。そして、動物福祉の観点からも問題があると述べている。たとえば、高脂肪の製品を得るために動物を虐待するケースや、工場式養鶏の非人道的な環境で飼育される実態などが挙げられる。

しかしチョイによれば、培養肉は依然として生産コストが高く、大規模展開には限界がある。さらに、そうした手法を確立するための科学的知見の解明も容易ではなかったという。
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翻訳=酒匂寛

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