バイオ

2025.02.17 09:30

米国で販売される培養肉の現状、AIがその生産に大きく貢献

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AIが果たす役割

人工知能(AI)は、培養肉の生産工程を効率化する上で大きく貢献している。たとえば、構造ベースのモデリングによってタンパク質設計を検証し、インビトロ(実験環境)での成長因子などをAIで評価することで、最適な生産方法を探る研究が進められている。こうした手法が進化すれば、従来の肉の生産プロセスを根本的に変えられる可能性がある。
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チョイは「さまざまな構造ベースのシミュレーションで培養の工程をモデル化し、『最適な成長因子の評価』を評価することで、成長因子の活性を6%から14%にまで高めることができるのです」と述べている。

「これは、温室効果ガスの排出や食料廃棄、動物の疾病などをめぐる諸問題を解決する上で、大きな転換点です。私たちの解決策はまさに『勝者はチキンです』といえるものです」とチョイは語った。

これらの発表や統計を見る限り、近い将来に多くの人が培養肉を口にする可能性が示唆される。ただし、それはあくまで消費者の好みに左右される。ある調査では、米国成人の半数程度がこうした代替肉を試したくないと回答しているという。しかし、檻の中で飼育される動物を気の毒に思う人々にとっては、最適な代替手段となるかもしれない。
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また、これはデータ駆動型AIを活用した最も有望な事例の1つでもある。デジタルニューラルネットワークの大規模な計算能力がなければ、ここまでの科学的進歩は難しかっただろう。ゲノミクス(遺伝情報の研究)や計算生物学へのAI応用に関するニュースは数多くあるが(筆者も最近の記事で取り上げた)、今回取り上げたテーマは、人類の食生活や、狩猟採集民からの進化過程という極めて重要な問題に関わっているのではないだろうか。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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