USDA-ARS Bee Research Laboratory(米国農務省・農業研究局ミツバチ研究所)の研究や養蜂家団体による聞き取り調査で、今回の損失が全米規模で深刻なものであることが判明しているが、原因はいまだ特定されていない。通常の大量死原因として知られるバロアダニなども、今回は主犯と考えにくいという。研究者らはウイルスや寄生虫、農薬残留物の検査をさらに進め、何が起こっているのかを探っている。
ミツバチは他にも、Dalan Animal Healthが
ワクチンを開発しているアメリカ腐蛆病や、農薬中毒、栄養不足、長距離移動のストレス、そしてバロアダニなど、さまざまな病気に苦しむリスクがある。
「これだけ多くのコロニーが失われた原因を明確に示すものは何もありません」とダウニーはいう。「毎年、少しずつ崖っぷちに近づいている実感があり、このままでは持続可能ではないことは明らかです。ミツバチは私たちの食糧を受粉させる要であり、もっと適切に保護する必要があります。「いま何が起こっていて、どれほど深刻な事態になるのかを突き止めようと、まさにパニック状態です」
アーモンドや果物の品薄や価格高騰が最終的に起こるかどうかは天候などの要因にも左右されるが、ミツバチが減少している現状は大きなリスクとなる。「アーモンドを受粉するのに必要な数のミツバチがいないんです」とシュックは重ねて述べ「シーズン最初の受粉でこれですから、良い兆候とは言えません」と付け加えた。
サウスダコタ州で40年以上養蜂業を営むティム・ホルマンは、昨年70%ものコロニーが死に、25万ドル(約3792万円)をかけて補充したにもかかわらず、今年も同様の大量死を目の当たりにしているという。妻と2人の息子とともに家族で経営しており、今後を案じている。「これまでにも養蜂の厳しい時期は何度も経験しましたが、今回は様相が違うように思います。私のような家族経営の養蜂場がすべて生き残れるのかはわかりません」
さらにホルマンによれば、米国内で消費されるハチミツの約4分の3を安価な輸入蜂蜜が占めていることも経営を圧迫している。「たとえミツバチを生かし続けて蜂蜜を作れるようになったとしても、いろいろな面で打撃を受けています」
ミツバチを必要とする栽培業者が増え続ける一方で、Project Apis m.のダウニーは、なかには他人のミツバチを盗むという「必死の手段」に出るケースもあると指摘する。実際、California State Beekeepers Associationの試算では、2013年以降、州内での巣箱盗難が87%増加し、被害総額は350万ドル(約5億3000万円)を超えるとみられている。同協会は今週、農業犯罪を専門とする私立探偵事務所との連携を発表し、ミツバチ盗難防止に向けた取り組みを強化するという。ダウニーは「夜間に果樹園へ入り込み、他人のミツバチを積み込み、それを貸し出しているのです」という。
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forbes.com 原文)