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北米

2025.02.06 12:00

サム・アルトマンの核融合発電Helion、米スターゲート計画の電力供給源候補に

ホワイトハウスで記者会見するOpenAIのサム・アルトマンCEOとソフトバンクの孫正義CEO(Andrew Harnik/Getty Images)

それでも、電力供給の問題はますます切迫している。米国の電力網はすでに負荷が高まっており、急増するデータセンター向け需要を支えることができるのか不透明な状況だ。特に、スターゲート計画における「メガセンター」の電力供給は大きな課題となる。

ビル・ゲイツも核融合発電に投資

今から12年前に設立されたヘリオンは、これまで収益を生み出していないが、カーボンフリーでほぼ無限のエネルギーを生み出す核融合炉の開発を目指し、ベンチャーキャピタルから資金を調達している。この分野では他にも競合企業が存在しており、ビル・ゲイツが支援するCommonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ)とZap Energy(ザップ・エナジー)の2社は、それぞれ約20億ドル(約3040億円)と3億ドル(約460億円)以上を調達している。

しかし、いずれの企業もまだ核融合発電の実用化には至っておらず、専門家のコンセンサスとしても、実現には少なくとも10年以上がかかると考えられている。テネシー大学ノックスビル校の核科学者ブライアン・ワースは、「核融合企業が2028年までに安定的な電力供給を実現するとは非常に考えにくい」と述べて、「ヘリオンの技術は魅力的だが、実際にどのように構築し、規模を拡大するのかについてまだ明らかになっていない」と指摘した。

しかし、ヘリオンのカートリーCEOは、開発が進行中であると反論する。同社の第7世代の試作機「ポラリス」はすでに稼働しており、試験が成功すれば核融合による電力生成を実現する最初のプロトタイプになると彼は主張している。「当社の歩みを見たことがない人や、データを知らない人が懐疑的になるのは理解できる。しかし我々は核融合を実現するマシンを作り続け、それを繰り返し証明してきた」とカートリーCEOは強調する。

スターゲート計画を巡っては、他にもエネルギー供給元の候補が存在する。例えばアルトマンは原子力発電企業のOklo(オクロ)の会長も務めている。しかし、このプロジェクトと最も経済的なつながりが強いのはヘリオンだ。

ただし、実用化までの時間が課題であり、スターゲート計画は当面は天然ガス発電に依存する可能性が高い。現在、このプロジェクトはテキサス州アビリーンで建設を進めており、オラクルがAIコンピューティング向けのデータセンターをリースする予定だ。この施設が消費する20万キロワットの電力は、天然ガスのタービンによって供給される予定だ。

それでもアルトマンはヘリオンに期待を寄せている。彼は先日、ワシントン州エベレットにあるヘリオンの本社を訪れ、「これは、私がこれまで見た中で最も有望な核融合テクノロジーだ」と同社を称賛した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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