このような反応は、現在時価総額2兆9300億ドル(約452兆円)(先週の市場で17%下落して約6000億ドル[約92兆6000億円]の価値を失う前はさらに高額だった)を誇るエヌビディアの座を奪おうとする企業集団にとって、期待込みの見方ともいえる。今回の株価急落は、「エヌビディアの事業の大部分が、訓練用に大量のGPUを購入する大企業に依存していたことへの評価だ」とリアンは言う。
しかし、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは強敵だ。彼はこの数カ月、同社の推論能力を大々的に宣伝してきた。複数のチップスタートアップはフォーブスに対し、今回の株価下落は過剰反応だったと口をそろえる。株価下落後、エヌビディアは自社の推論能力をアピールする声明を発表した。「推論には相当数のエヌビディアGPUと高性能ネットワークが必要だ」と同社はフォーブスへの声明で述べている。
一方、OpenAIやAnthropic(アンソロピック)、Google DeepMind(グーグル・ディープマインド)などの大手AI先端研究所は、エヌビディア製GPUに何十億ドル(数千億円)もの資金を投入してきたが、それが無駄になったわけではない。DeepSeekは、従来の常識を超えた最適化手法を提示しただけであり、これは結果的に、より大きく、より優れたAIを誰もが享受できる道を開いた。GPUマーケットプレイスを運営するSan Francisco Compute Companyの共同創業者であるエヴァン・コンラッドはフォーブスに、「より効率的な訓練プロセスがあれば、同じ計算資源でさらに大規模なモデルを訓練できます」と述べている。
シリコンバレーが確実に模倣するであろう技術的成果だけでなく、DeepSeekの成功はエヌビディアの陰にいた小規模チップ企業にとって別の意味でも象徴的だった。「私たちのような弱小勢力にとっては、これで気合が入るはずだ」とフェルドマンは語っている。
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forbes.com 原文)