FDAは、2型糖尿病と慢性腎疾患を有する患者において、腎疾患の悪化や腎不全、心血管疾患による死亡のリスクを低減する目的でオゼンピックを使用できると発表した。
FDAはノボノルディスクが行った最終段階の治験結果に言及した。同社は2024年3月、2型糖尿病患者3500人以上を対象とした試験で、プラセボに比べてオゼンピックが腎疾患の進行と腎臓あるいは心血管系の合併症による死亡リスクを24%低減したと報告している。ノボノルディスクによると、オゼンピック使用患者では腎機能の低下速度も緩やかだったという。
欧州連合(EU)の医薬品規制当局も2024年12月に、同じ研究結果を根拠としてノボノルディスクがオゼンピックの適応範囲の拡大を承認した。具体的には、2型糖尿病を有する成人における慢性腎疾患関連の事象リスクを低減する可能性がある旨を製品情報に追記できるとしている。
米国疾病対策予防センター(CDC)の推定によると、糖尿病を抱える成人のおよそ3人に1人は慢性腎疾患を発症している。CDCによれば、1型・2型いずれの糖尿病でも、腎臓の老廃物ろ過機能を低下させることで腎疾患の原因となる可能性がある。また、糖尿病患者は高血圧を併発しやすく、これも腎臓にダメージを与える一因だとされる。
FDAはオゼンピックを2型糖尿病の治療薬として承認しているが、適応外利用である体重減少目的での使用でも広く知られている。また、同庁はオゼンピックと同じ有効成分(セマグルチド)を含むノボノルディスクのウェゴビーを、減量および心臓発作や脳卒中などの心血管障害リスク低減のために承認している。
近年、ノボノルディスクのオゼンピックやウェゴビーのようなGLP-1受容体作動薬に関して、他にもさまざまな効果を調べる研究が進められている。これらの薬は血糖値と食欲を調整する腸ホルモンを模倣し、糖尿病や肥満の治療薬として承認されてきた。イーライリリーの減量薬ゼップバウンドも、肥満だけでなく睡眠時無呼吸症候群の治療薬として承認されている。同社の最終段階試験で、ゼップバウンドが無呼吸発生率を「統計的に有意に」低減させたことをFDAが認めたためである。
一部の研究では、GLP-1受容体作動薬がアルコール使用障害の治療、気分や認知機能の改善、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症、認知症、双極性障害、不安症などの症状緩和に役立つ可能性も示唆されている。
(forbes.com 原文)