「3960億年に一度」の現象ではない
宇宙が誕生したのは138億年前だとされている。すなわち、3960億年前に起きた何事かを私たちが見逃しているということは、ありえない。「3960億年に一度」という主張は、ベルギーの気象学者でアマチュア天文家のジャン・メーウスが1997年に出版した著書『Mathematical Astronomy Morsels(数学的天文学の断片)』で論じた理論上のポイントを完全に誤解したものだ。天文情報サイトのSky&Telescopeによると、メーウスは「地球上で8つの太陽系惑星すべてを同じ空に見る瞬間は訪れるか」という命題への答えとして「3960億年」という数字を導き出した。ここで重要なのは、メーウスが2つの惑星の日心黄経(太陽の中心を原点とする黄道座標における経度)が1.8度以内であれば「同じ」とみなしたことだ。
今月の「惑星パレード」では、多くの惑星が空に見えるが、惑星同士の位置関係は決して近くなく、もちろん1.8度以内でもない。
1月と3月の「惑星パレード」
1月中は、火星、木星、金星、土星、天王星、海王星の6つの惑星が夜空を彩る。このうち天王星と海王星は肉眼では見えない。日没後すぐに西の空を見上げると、金星と土星が見つかるはずだ。東の空に目を転じれば、木星と火星が光っている。22日の下弦の月を過ぎると、月の出が夜半を回るので、惑星の観測はしやすくなる。2月末~3月初旬には、水星が惑星の並びに加わる。月が替わって最初の1週間が見ごろで、日没後の短い間が観測チャンスだ。1日と2日には、日の入り直後に西の低空で金星と水星、細い月が共演する。水星の見かけ上の距離が太陽から最も離れる「東方最大離角」を迎える8日には、水星と金星のランデブーを見届けたい。
