そんな中、メタやTikTokは、任意の2人の写真をアップロードすると、それをAIがキスシーンの動画に変換するフェイク動画のアプリの広告を掲載している。これらのアプリは、「誰とでも瞬時にキスができる」と宣伝されている。
AIを用いて他人のヌード画像を生成するアプリと同様に、これらのAIアプリは、本物のように見える偽物の動画を作り出している。この種のアプリの手軽さは、ディープフェイクが日常化していくことへの懸念を生じさせる。
これらのアプリの広告は、インスタグラムやYouTubeなどに氾濫するAIポルノほど露骨ではないが、「同様な危険につながる」と、米国の反ポルノ団体「性的搾取告発センター(NCOSE)」の幹部のヘイリー・マクナマラはフォーブスに語った。
「これらのアプリは、性的に露骨でなかったとしても搾取的だ。現実の世界で相手の同意を得ずにキスをしたり服を脱がしたりする行為が、許されないのであれば、オンライン上でも許されない」とマクナマラは指摘した。
フォーブスは、メタがインスタグラムとフェイスブックで2500件以上のAIキスアプリの広告を掲載し、そのうち約1000件が現在もアクティブであることを確認した。また、TikTokは欧州のユーザーに対し、約1000件の同種の広告を表示している(TikTokの広告ライブラリは米国ユーザー向けの広告を含んでいない)。
これらの広告の多くは、スカーレット・ヨハンソンやエマ・ワトソン、ガル・ガドットといった有名女優がキスをする動画を用いている。他には、ランダムな人々がキスをする動画もあり、「元恋人とキス」「片思いの相手とキス」が可能などと謳っている。これらの動画の中の人物が実在するのか、AIで生成したものなのかは不明だ。ヨハンソン、ワトソン、ガドットはコメント要請に応じなかった。
メタはまた、「AIハグ」のアプリの広告も掲載しており、これらの広告では子どもがミッキーマウスやトムとジェリーなどのキャラクターをハグする動画が紹介されている。また、一部のアプリは「会ったことのない祖父母を子どもがハグできる」と親に訴求している。メタは、このような広告を1200件以上掲載しており、そのうち300件以上が現在もアクティブだ。