「ロシアの情報機関はこの種の話を情報空間に溢れさせることで、ウクライナは腐敗している、ロシアの戦争は正当だ、という自分たちのナラティブ(物語)を強化しようとしているわけです」とシュミットは解説する。「それだけです」
火をつけて回るソーシャルメディア
ウクライナで続いている戦争は、テレグラムやXのようなプラットフォームが、以前には不可能だったようなやり方で、偽情報キャンペーンを大衆に届かせるのに役立つことを証明している。テクノロジー業界の専門メディア、米C4トレンズの創業者で編集者のスーザン・シュライナーはこう警告する。「ソーシャルメディアは火をつけるマッチです。誤った情報を拡散させる速さと範囲はほかのメディアとは比べものになりません。誤った情報を野火のように広め、たいていの場合、敵対勢力に害を与えることができます」
偽情報検知プラットフォームを運営するイスラエル企業、サイアブラのダン・ブラミー最高経営責任者(CEO)は、ロサンゼルスの山火事に絡めた今回のデマについて「ロシアのテレグラムチャンネルがまたやっている」と述べ、こう続ける。「言われていることはばかばかしいものですが、本当の問題は、こうした話がいとも簡単にプラットフォームを越えて広がっていくという点です」
「こうしたメッセージはテレグラム内にとどまらず、Xやフェイスブック、TikTokに飛び火し、そこで進化してさらに大きなオーディエンスに届くことになります。偽情報キャンペーンではそのうえ、無関係なコンテンツを自分たちのナラティブに合うように再利用して、偽情報をさらに増幅させていくことも多い。問題は、誤った情報そのものだけではなく、それがたちまちプラットフォームをまたいで拡散していくことです」