ウェドブッシュ証券のアナリストのダン・アイブスは、14日の顧客向けメモで、TikTokの親会社バイトダンスが、アプリの米国事業の売却にあたって400億ドルから500億ドル(約6兆3000億〜7兆9000億円)の支払いを求める可能性が高いと述べた。
この金額は、マスクが2022年にツイッターを買収した際の440億ドル(約6兆9000億円)と近いものであり、ロサンゼルス・ドジャースの元オーナーとして知られる投資家のフランク・マッコートが「Project Liberty(プロジェクト・リバティ)」と呼ばれるグループを通じて提示した額の約200億ドル(約3兆1000億円)を大きく上回る。
中国当局の関係者が、マスクへの売却を議論しているとのニュースは、「まったく驚きではない」とアイブスは述べているが、その理由に彼は、マスクがトランプ次期大統領との緊密な関係を持つことを挙げている。
アイブスはまた、TikTokの米国事業の買収はマスクと彼が運営するXにとって「金の卵を手に入れる」ようなものだと指摘した。
TikTokの広報担当者は、マスクへの売却の可能性について「まったくの作り話だ」と述べ、いくつかのメディアに対して否定的な声明を発表した。一方、マスクはこの報道についてまだコメントしておらず、彼がこの買収に関心を持っているかどうかは不明だ。
TikTokは、バイトダンスが米国事業を米国企業に売却しない限り、19日に禁止される見通しだ。しかし、TikTokの禁止に反対するトランプが、20日の大統領就任後にこの期限を90日延長する可能性があると見られている。
ピュー・リサーチが6月に行った調査によれば、TikTokの利用者数は、米国人の約3分の1に達しており、Xの利用者数の21%を上回っている。しかし、TikTokの親会社バイトダンスと中国政府との関係への懸念が、このアプリの売却を求める声を後押しし、バイトダンスの株式の15%を保有するサスケハナ・インターナショナル・グループの創業者のジェフ・ヤスも、この駆け引きに関与しているとされる。
一方、マスクの主要な事業である電気自動車(EV)メーカーのテスラは、中国で大規模なビジネスを展開しており、直近の四半期収益252億ドル(約4兆円)のうちの約23%が中国からの収益だった。アイブスは、マスクが中国政府と「強いつながり」を持つことが、TikTokの買収に際してメリットになると述べている。
(forbes.com 原文)