【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

宇宙

2025.01.17 10:30

「スペースX独占の打破」を狙うジェフ・ベゾスの宇宙企業ブルーオリジン

ブルーオリジンを設立したジェフ・ベゾス(Photo by Jonathan Newton / The Washington Post via Getty Images)

衛星コンステレーションの戦い

「ニューグレンはすでに、低軌道向けの小型衛星の大規模コンステレーションを構築する企業にとって魅力的な選択肢になっている」とクイルティ・スペースのヘンリーは述べている。

ブルーオリジンは、スターリンクを除く主要な衛星コンステレーションの契約を獲得しており、その中には、宇宙から通信サービスを提供するネットワークを開発中のテキサス州のASTモバイルが含まれる。同社によれば、ニューグレンは低軌道に設置される最大級のBlock 2衛星8基を運ぶことが可能だ。一方で、ファルコン9はわずか4基しか運べない。

さらに、ベゾスのアマゾンは、自社の衛星コンステレーションであるKuiper(カイパー)の実化に向けて、ブルーオリジンを活用している。アマゾンは2028年までにブルーオリジンに27億ドル(約4190億円)を支払う見込みだと、昨年の財務書類で明らかにしていた。

また、米国政府も、通信衛星を打ち上げるための新たな選択肢を求めている。国防総省は昨年6月、2029年にかけての最大56億ドル(約8700億円)相当の打ち上げの競争入札の参加企業に、ブルーオリジンやスペースX、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスらを選定した。

ブルーオリジンは、ニューグレン計画のみで約100億ドル(約1兆5500億円)のコストを費やしてきたと元従業員は推定しており、国防総省との契約は、同社にとって歓迎すべき収入源になる可能性がある。同社は、ごくわずかなNASAとの契約からの収入を除いて、会社の莫大な運営資金をベゾス個人のみに頼ってきた。ベゾスの保有資産は2330億ドル(約36兆1900億円)とされるが、この金額はマスクの4160億ドル(約64兆6200億円円)には遠く及ばないものだ。

2000年に設立されたブルーオリジンは、四半世紀を要した後に、宇宙進出に向けての第一歩を踏み出したが、その過程でいくつかの成果を挙げてきた。例えば、同社が開発したロケットエンジン「BE-4」は、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスの新型ロケット「ヴァルカン」の成功した2度の打ち上げを支えている。

同社はまた、再利用可能な宇宙ロケットを用いて宇宙への観光旅行を実現したスペースXに続く唯一の企業でもある。そしてまた同社は、2025年に100基以上のBE-4エンジンや複数のブースターを製造し、年間12回の打ち上げペースを支えるための製造施設を構築済みだ。
次ページ > マスクがトランプ政権内での影響力をスペースXの利益のために使わないと信じるベゾス

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事