しかし、そうではない。企業側は、面接にやってくるすべての人は(少なくともある程度のレベルは)求めている経験を持っていると期待している。それでは、他に何があれば仕事を獲得する可能性を高められるのだろうか? 採用面接では、「サービス」と「信頼」が経験よりも重要だ。
「あなた自身について教えてください」の本当の意味
「では、あなた自身について教えてください」というのは、誰にでも聞かれる質問だ。これは、あなたの経験や経歴、資格を教えてください、という趣旨の質問ではない。その質問の裏には、あなたの経験を聞き出すことよりも重要な意図が隠されている。面接官が「あなたのことを教えてください」と尋ねるとき、彼らが本当に尋ねているのは、「あなたがなぜ私たちの役に立つのかを教えてください」ということなのだ。私はエグゼクティブやリーダー志望者を対象としたコーチングで、「二人称」を最優先することが大切だと強調している。二人称とは、「あなた」という事だが、これはこの記事をよんでいる読者の皆さんを指しているのではない。面接であなたの目の前にいる人、つまり面接官のことを指しているのだ。自分のことをいくら話しても、つながりがなければ、それは独りよがりになってしまう。目の前であなたの話を聞く人こそ、最も重要な人なのだ。あなたはこれまでの採用面接で、その目の前の人に、あなたが彼らのために力になれることを、どのように伝えてきただろうか?
ここでのストーリーテリング戦略は、過去を利用して未来を創造することだ。投資家にビジネスアイデアを売り込む起業家は、これを生業としている。ビジネス・ピッチは「将来の見通しに関する記述」で埋め尽くされる。何百万ドルもの投資を求める起業家たちは、投資が行われた場合にどのような展開があり得るかを語る。採用面接でもそれは同じで、あなたは企業に対してあなたへの投資を依頼しているのであり、未来の可能性を語るために過去について共有しているのだ。