欧州

2024.12.27 10:00

ウクライナ、ロシアで自爆ドローン400機分の部品破壊か 憂慮すべき新機能も発覚

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こうした光学航法システムは、GPS(全地球測位システム)などの測位衛星システムがジャミングを受けやすくなるにつれて採用が広がってきている。たとえば米ドローンメーカーのレッドキャットは今月、米新興データ解析企業のパランティア・テクノロジーズと提携し、自社の戦術クワッドコプター(回転翼4つのドローン)に視覚ナビ機能を導入すると発表した。これは最も小型のドローンでも光学航法を取り入れられることを意味している。
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視覚ナビ機能があれば、シャヘドはジャミングにわずらわされなくなる。ただ、シャヘドへのサーマルイメージングカメラの搭載は別の理由の可能性もある。

今年9月、ウクライナの防衛ニュースサイト「ディフェンス・エクスプレス」は、墜落したシャヘドの残骸からスターリンクの端末が見つかったと報じた。スターリンクと接続すれば長距離通信が可能になり、ロシア側はシャヘドをリアルタイムで追跡し、どのドローンが目標に到達する前に墜落したかを知ったり、飛行中のドローンのルートを変更したりできる。

言うまでもなく、ロシアが米国製のスターリンクを利用するのは非常に違法性の高い行為だ。しかしソーシャルメディアへの多くの投稿が示すところでは、ロシア軍はおそらく第三国の仲介者を通じてスターリンク端末を入手している。
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スターリンクとサーマルイメージングカメラを組み合わせれば、操縦士は特定の目標、とりわけ発電設備のような特徴的な熱情報の目標を正確に狙える。また、リアルタイムの通信によって、シャヘドは船舶のような移動目標や、防空システムのような精密目標も攻撃できる。これらのシステムは、以前に行った攻撃の効果の評価にも活用できるだろう。

レフト・オブ・ローンチ

発射後のシャヘドを落とすのはもっぱら防御的な対応であり、一部は突破してしまうリスクが常につきまとう。迎撃率が95%であっても、ウクライナでは毎月何十機ものシャヘドが目標に到達し、さらに多くのシャヘドが民間人の居住地域に墜落している。最良の対策は、いわゆる「レフト・オブ・ローンチ」の段階で脅威をつぶすこと、つまり、発射前に地上で脅威の元を破壊することだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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