経営・戦略

2024.12.10 08:00

第三次世界大戦は「すでに」始まっている、企業は今すぐ備えよ

シリア中部ハマで、市庁舎の壁に飾られていたバッシャール・アサド大統領の肖像の顔に撃ち込まれた銃弾の跡(Rami Alsayed/NurPhoto via Getty Images)

また、世界的な紛争が自社にもたらす機会を認識することも、第三次世界大戦への備えとなる。この文脈における「機会の認識」とは、必ずしも紛争を利用して利益を得ることではない。むしろ、突きつけられる課題を切り抜けながら自社の事業を通じて積極的に貢献できる方法を特定することだ。

倫理的な機会としては、人道支援活動への援助、サプライチェーンの回復力を高める技術への投資、被害を受けた地域の復興やインフラ開発へのリソース提供などが考えられる。これらの行動は、企業の社会的責任に合致するだけでなく、地域社会の復興と回復力強化における信頼できるパートナーとしての地位を築くことにもつながる。

ビジネスリーダーは、危機には常に「機会」が潜んでいることを認識しなければならない。機会を見極めて活かせないのは、リスクを見極めて軽減できないのと同じくらい危険なことだ。

戦争と戦雲

紛争の性質と規模がますますグローバル化しているとはいえ、この第三次世界大戦は、前世紀の2つの世界大戦とは大きく異なるものになるだろう。かつてカール・フォン・クラウゼヴィッツが『戦争論』に記したように「どの時代にも、その時代特有の戦争、特有の制約条件、特有の奇妙な先入観がある」のである。

この戦争は、少なくとも当面は、断続的に進行する可能性が高い。トランプ次期米大統領はウクライナでの戦争を終わらせるかもしれないが、ロシアは和平を利用して国の立て直しと再軍備を行い、欧州の地図を塗り替える努力を再開すると筆者は予想している。やがて、ウクライナか北大西洋条約機構(NATO)の東部境界線沿いのどこかで、戦闘が再開されるだろう。

そうなれば事態はさらに悪化し、その影響はより甚大で広範囲に及ぶことになる。だからこそ、フランスのエマニュエル・マクロン大統領や英陸軍参謀総長のロリー・ウォーカー大将ら欧州の指導者の間で、今後数年のうちにロシアとの全面戦争が起こる可能性が高いと警告する声が高まっているのだ。

ビジネスリーダーは、一時的な休戦に惑わされて、危機が去ったと信じてはならない。むしろ、私たちは皆、新たな世界規模の紛争の時代に備えなければならない。
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シリアのアサド政権崩壊 反体制派が首都制圧、大統領は出国しロシアへ

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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