ロシア軍は最近、クルスク州の突出部北縁やウクライナ東部でわずかに前進しているが、その裏でロシア側の状態はだんだんと不安定になってきている。アナリストのアンドルー・パーペチュアは「個人的には、これらの前進はロシア軍にとっておおむね失敗だと考えている」と
書いている。「ロシア軍は師団を丸ごと戦闘にぶち込み、まさしく破滅的な損害を被りながらほんの数km前進しているだけだ」
パーペチュアは「ロシアの軍隊の使い方は持続不可能だ」と断じる。
ウクライナ東部とクルスク州のロシア野戦軍が崩壊するのか、するとすればいつになるのかは見通せない。だが、最終的に崩壊する方向に向かっているのは明らかだ。そして、軍隊が崩壊するときには一気に、完全に崩壊することが多い。これについては
シリアの大統領だったバッシャール・アサドに聞いてみるといいだろう。アサド政権軍は、反政府勢力が連携した反転攻勢に出てから1週間かそこらで全面退却することになった。
ロシアの衰運を覆すものがあるとすれば、それは来年早々、ウクライナへの米国の援助がいきなり打ち切られることだろう。ウクライナ政府はこれまで、兵士の増員、土塁など防御施設の強化、時代遅れの指揮統制の改革、国内での兵器増産などに苦慮してきた。
こうした国内の危機を抱えながらもウクライナが戦い続けるのを助けてきたのが、米国による今年の610億ドル(約9兆1500億円)規模の新たな援助だった。しかしパーペチュアは「ウクライナはこの援助パッケージが尽きるまでに、こうした問題を絶対に解決しないといけない」と警告している。「次の援助はないかもしれない」
ただ、ウクライナには楽観的になれる理由も、ロシアが悲観的になる理由と同じくらいの数ある。国内の諸改革は実行されるかもしれない。米国の援助は、おそらく現状より厳しい条件にはなっても、継続される可能性もある。トランプ新政権は、欧州諸国の政府がすでにわかっていること、すなわちプーチン政権が本心では永続的な平和に関心がないことにすぐ気づくかもしれない。
ロシアはその間も、とうてい代償と引き合わないようなわずかな領土獲得のために、人員と装備を持続不可能なペースで失い続ける可能性がある。
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forbes.com 原文)