宇宙

2024.11.16 17:00

「地球外製のAI」がすでに宇宙全体に広まっている可能性、元NASA歴史学者が指摘

南米チリ・アタカマ砂漠のアルマ(ALMA)望遠鏡上空の天の川(ESO/B. Tafreshi (twanight.org))

地球外AIの検出は可能か?

今もなお、その見込みは非常に低い。ディックとは30年近く前、イタリア・カプリで開かれた宇宙生物学の会合で初めて会った。当時、太陽に似た別の恒星を公転していることが確認された惑星は1つだけだった。それが今日では、太陽系外惑星の総数は6000に迫っている。
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だが、ディックとの最初の出会いから数十年の間、地球外生命探しは紆余曲折を積み重ねている。当初の楽観的な見方はやや後退している。太陽系に真に類似する構造を持つ恒星系がまだ見つかっていないからだ。それでも、ディックは依然として楽観視している。

現在知られている形態の物理的な惑星とは関係のない、製造された構造体に住む人間離れしたAI文明が存在するかどうかは、現時点ではまだ確実には判明していない。あるいは人類が宇宙で限りなく孤独かどうかも、まだわからない。

映画『インデペンデンス・デイ』のような大規模な宇宙人の侵略が起きない限り、火星の微化石や、木星や土星の衛星に現存する微生物、30光年先からの地球外知的生命体の信号などの発見が、国際社会に大きな即時的影響を与えるとはとても思えない。
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だが、ディックや世界の国々の大多数は、これに対して異なる見方を示している。

ディックによると、2013年の世界経済フォーラムでは、地球外生命の発見が5つの「Xファクター(未知の要因)」の1つに取り上げられ、発見がなされた際ではなく現時点で対策を講じておく必要があると言明されている。Xファクターとは、十分な科学的根拠はある一方、どのような結果が生じるかは未知数の問題のことだ。

宇宙は人類がすべてとは限らない

ディックによると、コペルニクス的世界観の、地球は宇宙の中心ではないとする考え方は、即時的な影響を及ぼさなかった。だが長期的には、宇宙における人類の居場所としての世界の見方を変え、地球上での人類の立場に対する認識を変化させたという。

宇宙生物学は、宇宙そのものを理解する上でどのように役立つのか。

宇宙における人類の居場所は、人類が暮らす宇宙が物理的宇宙なのか、生物的宇宙なのか、あるいはポスト生物的宇宙なのかによって影響を受けると、ディックは指摘する。宇宙の性質や法則は、生命と調和している。その必要はないのにだと、ディックは続ける。このことは、宇宙論と生物学との間の深い関係性を示しており、この相互関係については(まだ)完全には解明されていないと、ディックは説明している。

結論

生命の普遍原理かもしれないものについては、既成概念に捉われずに考える必要があると、ディックは指摘している。



forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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