欧州

2024.11.12 09:30

ロシア軍、クルスク州でBTRの墓場と屍の山築きながら漸進 キューバなどの傭兵も参加か

ロシアのBTR-82A装甲兵員輸送車。2017年8月、ロシア西部モスクワ州アラビノの演習場(Andrey 69 / Shutterstock.com)

ロシア西部クルスク州で、ウクライナ軍で最も重装備の部類に入る3個旅団が、2方面から攻撃してくるロシア軍の海軍歩兵部隊やその援軍の北朝鮮部隊側と接近戦を繰り広げている。この陰惨な戦闘でロシア側は何十両もの車両、何百人もの人員を失っている可能性がある。北朝鮮兵にも損害が出ているかもしれない。
だからといって、ロシア側が勝てないということにはならない。ロシアは、補充兵を戦闘にどんどん送り込んでいく「マンパワー(人的戦力)マシン」を構築した。もちろん、このマシンは永遠に機能するわけではない。しかし、その「原料」が近いうちに枯渇する兆しはない。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「クルスク方面で敵は部隊を再編成した」と分析している

8月6日、ウクライナ軍の6個旅団から抽出された各400人規模の12個ほどの大隊で構成されるとみられる精強な軍勢は、クルスク州の国境地帯のロシア側防御線を突破し、州内の1000平方km超のエリアを一気に制圧した。

ウクライナ側の狙いは、ロシアの領土の一部を奪うことで、将来の休戦交渉で自国の立場を高めることにあったようだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、10月1日までにクルスク州からウクライナ軍を排除するよう軍に命じた。ロシア軍はこの期限は守れなかったものの、反撃によってウクライナ軍の支配する突出部を徐々に削り取り、現在、ウクライナ側が支配する面積は700平方kmほどに縮小している。

プーチンはクルスク州の残りのエリアも取り戻したいと考えており、そのために何千人ものロシア兵の命を犠牲にするのをいとわない姿勢なのも明らかだ。さらに、11月5日の米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利したことも、プーチンの切迫感を強める一因になっているかもしれない。トランプは来年1月の大統領就任前にウクライナでの戦争を終わらせると豪語していた。

トランプの休戦案は戦線を現状で凍結するというものらしいが、知られる限り、実効性をもたせるための仕組みに欠け、実現する見込みは薄い。仮にトランプの案に従って戦線が凍結されることになった場合、ウクライナはロシアに占領されている12万平方km近くの領土を失うことになる。

一方のロシアは、クルスク州の700平方kmほどの領土を失うことになる。言うまでもなく、ロシア軍や北朝鮮部隊が休戦前にそれを奪還できれば話は別だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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