欧州

2024.11.06 09:30

ウクライナ軍のブラッドレー&エイブラムスがクルスク州で奮戦、だが否めない「場違い」感

ウクライナにとって東部での利害は甚大なのに対して、クルスク州での利害はよく言って曖昧だ。

ウクライナ軍は8月上旬、自軍最高クラスの車両を有する精強な軍勢を投じてクルスク州に侵攻し、1000平方km超を一気に制圧した。その後、増援に送り込まれた第47機械化旅団の機甲部隊が今回、突出部から西へ少し離れた場所で行った強襲は、突出部でのウクライナ軍の努力と関連して行われたものだ。

クルスク侵攻は、戦力が引き伸ばされすぎているウクライナ軍にとって、戦術面では目を見張る達成だったが、戦略上の意義は不明である。

ウクライナの狙いが東部戦線からロシア軍のかなりの戦力を引き剥がし、クルスク州に張り付けることにあったのだとすれば、それは失敗した。ロシア軍はドネツク州での攻勢を減速させることなくクルスク州で反撃できているからだ。

ウクライナは将来の和平交渉の際にロシア占領下のウクライナの土地と交換するために、クルスク州の一部を保持することを目論んでいるのかもしれない。その場合、その取引で得られるものが、侵攻の結果失うウクライナの土地よりも大きいと賭けているということになる。だが、これは危うい賭けだ。

ウクライナにとってイルリンカやクラホベ、ポクロウシクが持つ紛れもない価値と、クルスク州での支配地域という議論の余地のある価値を比較考量して、ウクライナ軍の少なくとも1人の現役軍人は、後者で作戦を始め、なおそれを続けているウクライナの判断に疑問を呈している。

ウクライナ軍のドローン操縦士であるKriegsforcher(クリークスフォルシャー)は「(ウクライナの)都市を失っていくなかにあって、ここクルスク州の平原にいることのメリットを受け入れたり、理解したりすることはとても難しい」とつづっている

彼の見解に従うなら、クルスク州での小競り合いに投入されているブラッドレーやエイブラムスはむしろウクライナ東部で戦い、ロシア軍による容赦ない攻勢を押しとどめるのに使われるべきだということになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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