


そして、アマンらしい温かなホスピタリティに基づく特別な食体験はここならではのものだろう。5つのロッジで欠かせない食体験を挙げてみよう。
ブータンといえば、パロの断崖絶壁に建つ寺、タイガーズ・ネスト(タクツァン僧院)が有名だが、その約5時間のトレッキングの終盤に、驚きの食体験が待っていた。
低木をかきわけ、道なき道をいくと、突如現れるログハウス。笑顔のスタッフ冷たいおしぼり、ウェルカムカクテルに迎えられ、泥だらけの重い登山靴を脱ぎ、清潔なスリッパにはきかえる。これまで登ったタイガーズ・ネストの高みを見ながらいただく食事は別格だ。ちなみに、ロッジに戻ると、登山靴は熟練のスタッフの手ですぐにクリーニングされ、翌日に生まれ変わって返ってくる。
古都ブムタンでは、焚き火の炎を囲んで、地元の男女の踊り手たちの伝統舞踊を見ながら食事を楽しむことができる。日本の盆踊りのように円陣を組む踊りは、どこかノスタルジックな雰囲気に満ちている。
ガンテは、ジャガイモが特産品。元々収穫したジャガイモの保管小屋を改装して行う「ポテト・シャック・ディナー」では、室内が数えきれないキャンドルの灯りに照らされ、ハネムーンなどにぴったりな雰囲気だ。このキャンドルは客室で出る使いかけのキャンドルを溶かして作ったリサイクル。一切電力を使わないサステナブルな食事は、「伝統は一回りするとエシカルでロマンティックでもある」という現代の美意識を体現していた。

