今日も歴史は繰り返されようとしている。ソ連は崩壊したが、現代のロシアによるウクライナへの侵攻は、過去をまざまざと思い起こさせる。歴史を通して、社会は一貫して全体主義より自由を選択してきた。ウクライナ人は二度と閉鎖的で権威主義的な体制には戻らないと決意している。
興味深いことに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は数カ月前、同国の兵士は70万人に上り、西側諸国に勝ると述べた。ところが、ロシアは訓練不足の徴収兵を戦争に駆り出しているのが現状だ。今やウクライナ軍が自国北部スミ州の国境を越え、ロシア領に進軍していることを知らない者はいない。ロシアの徴収兵はあっけなく投降した。ウクライナ軍によると、ロシア軍は8月31日時点で61万5000人の兵士と368機の戦闘機を失った。
プーチン大統領は怒りをあらわにしている。弱さの表れであろうが、同大統領はロシアが核兵器を保有していることを繰り返し強調している。だが、西側諸国がウクライナに軍需品を供給している以上、ウクライナも核兵器を保有していることになり、プーチン大統領の選択肢は限られている。これについて、欧州政策分析センターのパベル・ルジン上級研究員は「ロシアの権威主義体制がそれほど強力でも持続可能でもないことを示している」と分析している。
ロシア軍がウクライナを攻撃し続けているのは事実だ。8月下旬、ロシアはウクライナに無人機を一斉に送り込み、エネルギー施設を標的にした。これはここ数カ月間で最大規模の攻撃だった。国内の電力の約20%を担うウクライナ最大の民間電力会社DTEKは、発電能力の90%近くを失い、経済的損失は約500億ドル(約7兆1900億円)に上った。