宇宙

2024.09.05 12:30

長年忘れられた謎の天体「パルサー惑星」、太陽系外惑星の「初の発見例」

パルサーPSR B1257+12(左上)を公転する3つの「パルサー惑星」を描いた想像図。両極から強力な電磁波を放射しているPSR B1257+12を公転する2つの惑星が1992年に発見され、のちに3番目の惑星が見つかった(NASA/JPL-Caltech)

チェコ・カレル大学の宇宙生物学者ジュリー・ノバコワは、デンマークのコペンハーゲンで最近開かれた宇宙生物学会議の会場での取材に応じ、今日では5つのパルサー惑星系に合計7個の惑星があることが確認されていると話した。このうち複数の惑星を持つことが知られているのはPSR B1257+12だけなので、パルサー惑星は稀な存在である可能性が高いことが調査によって示唆されていると、ノバコワは指摘している。

検出数の増加を期待

ミリ秒パルサーからの電波パルスのタイミング計測によって惑星の軌道と質量を制約できるが、それ以上のことは何もわかっていないと、ノバコワは、コペンハーゲン大学で開催された「特異な惑星に特異な生物種は存在するか?」と題された会議の席上での取材に語った。惑星の組成や、大気と磁場を持つかどうかなどもわかれば最高だろうと、ノバコワは話した。こうした情報はどれも、惑星がどのように形成されたかに関する知識を深めるのに役立つという。
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ノバコワを含む研究チームは、天文学誌Astronomy & Astrophysicsに投稿中の論文で、パルサー惑星の起源の可能性についていくつか言及している。論文によると、パルサー惑星は、超新星爆発後の残骸や、近くで超新星爆発が起きた後に質量の大半を失った伴星の残骸などから、その場で形成されたにすぎないという可能性がある。もしくは、伴星から捕捉された惑星である可能性もある。



だが、論文の主執筆者のノバコワによると、パルサー惑星は恒星が超新星として爆発した後に流入する塵(固体微粒子)から形成された可能性が高いという。
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2017年に天文学誌Astronomy & Astrophysicsに掲載された論文では、パルサー惑星の大気が残存する可能性について調べている。惑星が地球と同等か、より強力な固有磁場を保有すると仮定すると、惑星は数十億年にわたって大気を持ち続けることが可能かもしれないと、論文は指摘している。

ASTRONによると、パルサーの周囲に生命居住可能な惑星が存在することは、理論上は可能だという。この場合、主星のパルサーの有害なX線や高エネルギー粒子を熱に変換できる大量の大気が惑星に存在する必要があるだろうと、ASTRONは指摘している。

非常に暗い系

太陽地球間の距離にある惑星の表面に立ったとすると、パルサー系の中心にある中性子星は、明るい光の小さな点のようにしか見えないだろう。

ノバコワによると、主に放射性重元素でできた岩石惑星や金属惑星だと想像できる。表面には、ほんのりと輝くマグマの海があるかもしれない。もし大気と磁場を持っているなら、オーロラが惑星の表面を照らしているかもしれないが、太陽系にある惑星とは似ても似つかない世界だろうと、ノバコワは話している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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