宇宙

2024.04.28 18:00

葉巻銀河にある「マグネター」からの巨大ガンマ線フレアを初確認

宇宙で観測される最強級の磁場を持つ天体マグネターを描いた想像図(ESA)

宇宙で観測される最強級の磁場を持つ天体マグネターを描いた想像図(ESA)

北斗七星の近くに位置する系外銀河(天の川銀河の外にある銀河)で発生した、継続時間が極めて短いガンマ線の閃光現象を、天文学者チームが発見した。このガンマ線の発生源は、超強力な磁場を持つ極限的な天体「マグネター」だと、研究チームは考えている。

葉巻銀河としても知られるM82で検出されたこの閃光現象は、継続時間がわずか10分の1秒だった。銀河系から約1200万光年の距離にあるM82は、宇宙の観点からすると近傍の銀河だ。

崩壊した恒星

マグネターは中性子星の一種で、ガンマ線やX線などの高エネルギーの電磁波を放射する。中性子星は、超新星爆発を起こした巨星の崩壊した中心核の残骸だ。高速で回転しており、宇宙全域で検出される謎の突発現象「高速電波バースト(FRB)」の発生源と見られている。

2007年に初めて検出されたFRBは、電波で観測される周波数と、発生源から地球までの距離から、宇宙膨張速度の正確な値を計算する助けになる可能性があると考えられている。

今回のマグネターは2023年11月、欧州宇宙機関(ESA)の天文観測衛星インテグラルによって検出された。インテグラルは天体からのガンマ線、X線、可視光を観測する装置を備えている。

特別なアラート

科学誌Natureに24日付で掲載された、今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、イタリア国立天体物理学研究所(INAF–IASF)のサンドロ・メレゲッティは「これは特別なアラート(検出速報)だと、すぐに気づいた」と話す。「ガンマ線バーストは空のどこか遠くから飛来するが、今回のバーストは、明るい近傍銀河からやって来たのだ」

研究チームは、遠方の中性子星連星の合体などの重力波源の残光をX線と可視光で捉えるように設計されたESAの天文観測衛星XMMニュートンを用いて追観測を実施した。だが、そのような残光は何も見つからず、地上の検出器でも重力波が検出されなかったことから、発生源は近傍の銀河内にあると判断した。論文の共同執筆者で、INAFのミケラ・リゴセッリは「XMMニュートンの観測には、M82銀河の高温ガスと恒星しか現れなかった」と説明する。「今回の爆発現象が、継続時間の短いショートガンマ線バーストだとすると、検出された位置から発せられるX線が徐々に弱くなる現象が観測されると思われるが、こうした残光は存在しなかった」
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翻訳=河原稔

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