彗星の尾
彗星は、岩と塵(固体微粒子)と凍結したガスからなる固体の核があり、太陽に近づくと2種類の尾ができる。1つは、太陽の紫外線で電離したイオンや電子でできたプラズマの尾で、青みがかった色をしている。もう1つは、太陽の熱で彗星の氷が蒸発して生じるガスと共に放出される塵でできたダスト(塵)の尾だ。ダストの尾の方が、はるかに幅広く広がってたなびく尾ができる。北半球から見える紫金山・アトラス彗星と地球との相対的配置によって、太陽放射の圧力を受けて太陽と反対方向に伸びる彗星のダストの尾が、地球の方向に光を反射する可能性が高くなることで、彗星がより明るく見える可能性がある。この現象は前方散乱と呼ばれる。
また、紫金山・アトラス彗星は約20度にわたって伸びるダストの尾を持つ可能性があると、チャンは指摘している。これは、腕を伸ばして空にかざした手の人差し指と小指の間隔よりも長い。
オールトの雲が起源
紫金山・アトラス彗星は、軌道周期が約8万年の長周期彗星で、太陽系を球殻状に取り巻く無数の彗星の集まりであるオールトの雲からやってくる。非常に大型で、核の直径が約20~40kmに及ぶ。2023年1月に中国の紫金山天文台の天文学者によって最初に発見され、同年2月に南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)望遠鏡で検出された。
(forbes.com 原文)