宇宙

2024.08.29 18:00

宇宙空間を放浪する6つの「はぐれ惑星」発見、恒星と同じ過程で形成か

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の分光サーベイ観測で得られた、ペルセウス座の反射星雲と散開星団NGC1333の最新画像(ESA/Webb, NASA & CSA, A. Scholz, K. Muzic, A. Langeveld, R. Jayawardhana)

宇宙空間を放浪している惑星6つを、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で発見したとする研究結果が発表された。「はぐれ惑星」と呼ばれるこの種の天体は、惑星がどのように形成されるかを解明する手がかりを与えてくれるかもしれない。

はぐれ惑星は自由浮遊惑星とも呼ばれ、大半の惑星のように恒星を周回しているのではなく、特定の恒星に束縛されずに宇宙空間を単独で漂っているように見える。今回発見されたはぐれ惑星は、質量がそれぞれ木星の5~10倍ほどだ。

孤立した天体

はぐれ惑星の質量が極めて重要である理由は、恒星と惑星との間の境界をめぐって、天文学者が長年頭を悩ませているからだ。天文学誌The Astronomical Journalに掲載が受理された論文で詳細が明らかになった今回の発見は、木星よりやや大きい惑星の形成にも、恒星の形成と同じプロセスが関与している可能性があることを示唆している。

今回の研究に用いたデータは、ペルセウス座の方向約1000光年の距離にある星形成領域の星団NGC 1333の、かつてないほど詳細な観測によって得られたものだ。

はぐれ惑星は、恒星の周囲を公転しておらず、孤立した天体だ。天の川銀河(銀河系)にどのくらいの数のはぐれ惑星が存在するかはわかっていない。はぐれ惑星が形成される仕組みについては、天文学的に明らかになっていないが、1つの説として、若い恒星の周囲のガス円盤内で形成された後に、他の恒星との接近遭遇による影響を受けて恒星系からはじき出された可能性があると考えられている。もう1つの説としては、恒星と同様に宇宙空間で単独で形成されるというものだ。この場合は、惑星であるにもかかわらず、周囲を公転する別のより小型の惑星を持つ可能性がある。

ミニ惑星系?

この後者の説は、今回の証拠によって裏付けが得られている。新たに発見された惑星の1つで、これまでに見つかっている最軽量のはぐれ惑星には、周囲に塵が豊富な円盤がある。これはこの惑星が、星形成と同様の方法で形成された可能性があることを示している。このことは、この種の惑星が独自の惑星系を形成する可能性があり、銀河系や他の銀河にミニ惑星系が存在することを示唆している。

論文の共同執筆者で、英セントアンドルーズ大学の天体物理学者のアレックス・ショルツは「巨大惑星に匹敵する質量を持つこれらの小型天体は、独自の惑星系を形成できる可能性がある」と指摘する。「これは、太陽系よりもはるかに小規模なミニ惑星系のゆりかごになっているかもしれない」
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翻訳=河原稔

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