Sky and Telescopeによると、現在、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)が明るさを増し、尾を伸ばしている。
火星と木星の軌道の間を移動する紫金山・アトラス彗星は、今のところ大型の望遠鏡でしか見ることができない。位置はおとめ座の中となる。
肉眼で見える彗星は、事前に予測することは難しいことで知られているが、この彗星は10月中にかなり明るくなることが予想されており、夜空で金星ほどの明るさになる可能性が予想されている。そうなると「今年最高」、もしかしたら「今世紀最高の彗星」になるかもしれない。
紫金山・アトラス彗星について知っておくべきことを以下のとおりだ。
彗星はどこにある?
2020年のネオワイズ彗星、2023年の「緑の彗星」、今年のポン・ブルックス彗星(12P)に続いてやってくるこの彗星は、8万660年かかって太陽を周回する長周期彗星だ。数百万個の彗星の故郷で、太陽系を球状に囲んでいる「オールトの雲」からやってくる。紫金山・アトラス彗星は2023年2月、南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)望遠鏡と、中国の紫金山天文台の両方が発見した。
Comet C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS)
— 🇺🇦Taras Prystavski🇺🇦 (@prystavski) May 12, 2024
2024 May 12.33 UT m1=10.2 (m2=12.6) Dia.=2.0' Tail=8.7' in PA 98 deg... [T21] 0.43-m f/4.5 Corrected Dall-Kirkham + CCD... iTelescope observatory, U94 (remotely from Great Basin Desert, Beryl Junction, Utah, USA) pic.twitter.com/82IDUb1Wqv
いつ、どこで見られるのか?
太陽に最接近する地点(近日点)に達するのは2024年10月10日頃と予測されている。北半球では、そのすぐ後、日没後の南西方向で最もよく見える。10月と11月に南の空高くに昇るこの彗星は、肉眼で見える天体になることが期待されている。
どれほど明るくなるのか?
事前に知ることは不可能だが、金星と同程度、およそマイナス5等近くまで明るくなる可能性がある。金星は、満月のマイナス12.6等に次ぐ、夜空で2番目に明るい天体だ。彗星と地球との相対的位置が、この明るさを可能にしている。そこまで明るくなるにも関わらず、その恩恵を受ける可能性が低いのは、最も明るくなるときに彗星は北半球から見て地平線の低い位置にあり、朝もやの中に消えてしまうからだ。
10月中旬に近日点を通過した後、より空高く昇っていくにつれ、彗星はやや暗くなっていくが、その時が一番の見ごろになる可能性は高い。もし肉眼で見ることができれば、紫金山・アトラス彗星は世界中の天文ファンにとって特別な光景になるだろう。
(forbes.com 原文)