マスクの「スターシップ」とベゾスの「ニューグレン」


ニューグレンは初フライトでありながら、NASAの火星探査機「EscaPADE(エスカペイド)」を搭載する。火星大気と太陽風の相互作用を調査するこの探査機は2機で構成され、1機当たりの全備質量は550kg、うち350kgは推進剤が占める。この機体はRocket Lab(ロケットラボ)社によってわずか5500万ドル(81億4000万円、1ドル148円換算、以下同)で製造された。それは過去の火星周回機のわずか10分の1の予算だ。
火星、木星、小惑星、月の探査スケジュール
そのほかの注目すべき探査機ミッションを列記してみたい。日付は打ち上げ予定日、第4四半期は会計年度ではなく10〜12月を意味する。また、機体名に続くカッコ内は運用団体を示す。●10月7日 小惑星探査機ヘラ(ESA:欧州宇宙機関)
2022年9月、NASAは探査機「ダート」を小惑星ディモルフォスに衝突させ、その軌道を偏向させることに成功したが、その後の小惑星を近接観測するため「ヘラ」を送り出す。全備質量は1150kg。ファルコン9で打ち上げられ、2026年12月にディモルフォスに到達する。●10月11日 木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」(NASA)
木星の衛星エウロパを、木星の周回軌道上から観測する探査機。地下に広がる内部海に生命が生まれる条件が整っているかを探る。ただし、搭載するトランジスタが木星の放射線に耐えられない可能性があることが7月に判明。打ち上げがスリップする可能性もある。ファルコン・ヘビーで打ち上げられる。