宇宙

2024.08.21 10:30

「史上初」だらけの2024年後期宇宙計画と、NASA予算削減で抹消されるプロジェクト

●第4四半期 無人月着陸機「レジリエンス・ランダー」(ispace社・日本)

日本のispace社による月輸送ミッション「HAKUTO-R」の第2弾。2023年のミッション1で失敗した月面着陸に再度挑む。同社のマイクロローバーがレゴリス(月の砂)を採取し、そのデータをNASAに販売する。米国の月着陸機と違い、自社で調達した民間資金によるプロジェクト。打ち上げはファルコン9。

日本のispace社の「レジリエンス・ランダー」と、欧州子会社が開発したマイクロローバー(質量約5kg)。同社による民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2で再び月面を目指すⒸispace

日本のispace社の「レジリエンス・ランダー」と、欧州子会社が開発したマイクロローバー(質量約5kg)。同社による民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2で再び月面を目指すⒸispace

●第4四半期 無人月着陸機「ブルーゴースト」(ファイアフライ社・米国)

現時点でスケジュール変更は発表されていない。NASAのCLIPS(商用月面輸送サービス)によるミッションであり、「危難の海」(ウサギの後頭部の黒いエリア)に着陸予定。全備質量2700kg。10種類の科学機器を月面に輸送する。打ち上げはファルコン9。

●11月~翌年1月 無人月着陸機「ノヴァC・アテーナ―」(インテュイティブ・マシーンズ社・米国)

NASAのCLIPSによるミッション(IM-2)。1号機は今年2月、民間機として史上はじめて月面への軟着陸に成功。今回はその第2弾となる。NASAが開発したドリル「プライム1」を搭載して月南極へ着陸し、水の氷を探す。日本の小型探査車「YAOKI」も搭載予定。打ち上げはファルコン・ヘビー。

このほか、NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽に最接近する。2018年に打ち上げられた同機は、太陽と金星の間を周回しながら太陽コロナを直接的に観測しているが、そのアプローチが2025年にかけてクライマックスを迎え、残り7回太陽に最接近する。

直近では9月30日に、太陽表面から720万km(太陽半径の約10倍)の領域を秒速179kmで通過。12月24日には620万km(太陽半径の約9倍)を秒速192kmで通過する。同機は史上もっとも太陽に接近し、もっとも高速な探査機として記録を更新し続けている。

月着陸機「ノヴァC・アテーナ―」に搭載される日本の小型探査車「YAOKI」。その質量はわずか498kg。サイズは15×15×10cmⒸDymon

月着陸機「ノヴァC・アテーナ―」に搭載される日本の小型探査車「YAOKI」。その質量はわずか498kg。サイズは15×15×10cmⒸDymon

ULA社の売却とNASAの予算問題

シエラ・スペース社(米国)の無人宇宙機「ドリームチェイサー」は、2024年内に初試験フライトが行われてISSにドッキングするはずだったが、開発遅延から2025年に延期されている。1月に初打ち上げに成功したULA社の「ヴァルカン」が使用される予定。ULA社はブルーオリジン社に売却される可能性が報じられていたが、この8月にはシエラ・スペース社が買収すべく交渉が続いている。
次ページ > 今後の宇宙政策がどうなるかは、11月の大統領選によって大きく左右されるに違いない

編集=安井克至

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事