欧州

2024.08.19 09:00

ウクライナ軍の侵攻部隊、10日で装甲車両45両失う 異例の損失ペース

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ウクライナ軍にとって歩兵用車両の損失はとくに深刻だ。通常は1000kmの前線で1日に出す損失の1.5倍近くの損失を、わずか80kmの前線で出している。
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貴重な装備をこれほど多く失っても、ウクライナ軍の作戦立案者らは懸念していないかもしれない。もちろん、物的損害に引き合うほどの戦略上の利益を得られていると判断しているのであれば、だ。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、ジャック・ワトリングの評価が正しければ、ウクライナはクルスク州の支配地域をロシアとの交渉カードにしたいと考えている。交渉カードを手に入れるためには、10日で数十両の装甲車両の損失もやむを得ないとみているのかもしれない。

「政治的には、この作戦の目的は交渉に備えて有利な立場を築くことにある」とワトリングはガーディアン紙への寄稿で述べている。「11月の米国大統領選挙でドナルド・トランプが勝利すれば、軍事・技術援助を打ち切ると脅してウクライナに交渉を強いる公算が大きい。ウクライナ政府は、もし交渉プロセスに入らざるを得なくなった場合、ロシア側が譲歩と引き換えに得たいものを確保しておきたい」
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「したがってウクライナ軍は、あり得る交渉までの間、ロシアのかなりの土地を獲得・保持しなくてはならない」とワトリングは続けている。

ウクライナ軍の侵攻部隊の進撃が必然的に減速するなかで、ロシア側と損失率が逆転する可能性もある。ワトリングも「この部隊が過剰な拡張をせずに押し進められる距離には限界がある。ウクライナが交渉まで土地を保持するつもりなら、部隊は近いうちに壕を掘って身を隠す必要があるだろう」と書いている。

「ウクライナにとって最良のシナリオは、自軍部隊が壕に入る一方、土地を奪い返さざるを得ないと感じたロシア側がウクライナ軍部隊を押し出そうとして、途方もない損害を被るというものだ」とも説明している。

この場合、クルスク州での戦闘はウクライナ国内の前線の戦闘と似たものになってくるかもしれない。練度の低いロシア軍部隊が、塹壕に入ったウクライナ軍部隊を撃破しようとして多大な犠牲を出し、たいていは撃破にも失敗するというものだ。

とはいえ、現時点ではクルスク州のウクライナ軍は外で動き回っている。そのため攻撃を受けやすく、通常よりもかなり多くの車両を失いやすくもなっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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