廃墟と化しているアウジーウカの西の戦場では最近、不吉な兆候があった。ロシア軍の数個の自動車化狙撃連隊は1週間で西へ6km前進していた。この戦争でのロシア軍の進撃ペースとしては相当速いものだ。
家屋100棟ほどの小さな村であるプロフレスに進撃したロシア軍部隊は二手に分かれ、ウクライナ軍の第31独立機械化旅団の2個大隊をほぼ包囲した。
友軍はそれほど遠くない場所にいて、包囲寸前の部隊も持ちこたえている。ウクライナの調査分析グループ、ディープステート(DeepState)は24日、「撤退命令は出ていない」と報告している。
撤退命令はすぐに出てもおかしくない。ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は、最後の1人になるまで戦い抜くという戦い方はしない方針を示している。シルスキーは以前、英紙ガーディアンに「わが軍にとって兵士の命を守ることは非常に重要です。廃墟を死守するということはありません」と語っている。
ウクライナ側にとって、小さな村周辺のいくつかの土地を放棄するのは破滅的なことではない。それよりも憂慮されるのは、一帯の喪失を招いた状況だ。この方面全体でウクライナ側の指揮統制に問題があると指摘されるなか、ある旅団が総崩れになったもようだ。
ディープステートは「週末に歩兵旅団のひとつが無秩序に撤退したため、作戦・戦術状況は危機的になった」と説明している。言及されている旅団は、第110独立機械化旅団か第111独立領土防衛旅団を指すのかもしれない。
ウクライナの戦場記者ユーリー・ブトゥソウもプロフレス方面のウクライナ軍旅団に関して、最大の問題は「わが軍の戦闘の管理と組織化」だと伝え、機能不全に警鐘を鳴らしていた。