形状と機能を超えて。半世紀を経て注目されるデザインの「CMF」とは

メンフィスの展示「Livin’ Memphis」 (c) Ken Anzai

(c)Ken Anzai

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今回はC&Cミラノの「テッラ(大地)」シリーズをコンセプトに据え、長い生地が建物内をまたぐインスタレーションで、ミラノと丹後は離れていても繊維を生み出す大地はつながっていることを暗示した。
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多くの見学者が訪れ、好評で大手日刊紙にも取り上げられたのは、生地の魅力に加え、いくつかの背景が寄与しているだろう。第一に日本という国が一時的に追い風を受けていること。第二に大量生産と距離のあるクラフト感に惹かれる人が少なくないこと。第三に循環経済の代表選手としての繊維への関心の高まっていることだ。

欧州でビジネスにしていくには、着物の帯に基づいた生地幅の変更などテクニカルなハードルや、控えめすぎるといわれる日本側のコミュニケーションを改善する必要があるが、丹後を訪れたこともあるC&Cのエマヌエレ・カステッリーニCEOは「前進を検討中」と未来を見る。

制約を逆手にとれるか否か

CMF(色、材料、仕上げ)は大きく2つの視点でとらえることができる。まずは、似たようなデザインが多いからこそ、細部に違いが出るという見方。ファッションの世界でも高級ブランド「ブルネロ・クチネリ」は10種類以上の白の糸を使い分けるといわれる。そこまでこだわってこそ、差別化ができる。

もうひとつは、循環経済の視点だ。廃材の使用を前提とすれば、素材と仕上がりを評価するとき「自然の香り」「自然の肌触り」とは別の表現を求めることになる。そこで、「廃材を使うからデザインの選択肢や自由度が少ない」というのでは受け身だ。「廃材を使うからこそカラーや仕上がりで勝負する範囲が広くなった」という攻めの姿勢が求められる。
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CMFに対する考え方を聞けば、その企業やそのデザイナーの循環経済の理解力と適応力がわかるのではないだろうか。
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文化を「前へ放り出す」 ミラノデザインウィークの進化

文=安西洋之 写真=安西 健 編集=鈴木奈央

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