形状と機能を超えて。半世紀を経て注目されるデザインの「CMF」とは

グーグルは、ハードウェアデザイン部門を率いるアイビー・ロスとデザイン系のラボ「Chromasonic」とのコラボレーションで、没入型のインスタレーション「Making Sense of Color」を展開。最先端の色に関する知見を各種デバイスのデザインに反映するという。グーグルは、ハードウェアデザイン部門を率いるアイビー・ロスとデザイン系のラボ「Chromasonic」とのコラボレーションで、没入型のインスタレーション「Making Sense of Color」を展開(c)Ken Anzai

2018年からデザインウィークに出展するグーグルは今年、カラーと五感の関係をテーマに展示を行った。体験型のインスタレーションは人気、かつ入場者の数を絞っていたこともあり1~2時間待ちとなっていた。

会場ではまず、音とカラーが連動して変わる空間にしばし滞在し、「耳で聴ける色」や「目で見られる音」という次元に入り込む。次の部屋に移動すると、さまざまな色で手のひらサイズの石のような固体が並んでいる。それらに手で触り、カラーが想像させる感触と実際の感触に違いがあるのか、ないのかを体験。3番目の部屋では香りとカラー、4番目の部屋では味覚とカラーの関係を探る。そして最後の部屋に行くと、料理が並んだ食卓の一部にグーグルの電子デバイスが置かれている。
(c)Ken Anzai

(c)Ken Anzai


色は表層的あるいは装飾的なものとして見られがちだが、カステッリの元でも働いたカラーリサーチャーのフランチェスカ・ヴァランは「色はコンセプトを構成する重要な要素、かつ主観的なものである」と話す。同じ色でも、人によって、環境によってとらえ方は異なる。実は奥深く、正解はない。それを腹落ちさせてくれた展示は、同社のデザイン戦略の一環でもあり、今後の開発に生かされていく。

「素材」に近いほど創造が広がる

デザイナーの才能や表現が存分に発揮されるためには、素材メーカーの存在が欠かせない。メンフィスの表現を豊かにしたのも表層材メーカーだった。

ここで、出展はしていなかったが興味深い企業をひとつ取り上げたい。パーティクルボードメーカーのSAIB EGGERグループだ。1962年、イタリアに生まれたSAIBが2年前、同分野では世界大手のEGGER(オーストリア)に買収され改称した。
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文=安西洋之 写真=安西 健 編集=鈴木奈央

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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