これらのシステムはほかのどこかから移してこなければいけなかった。ウクライナ軍は都市の防空を優先した分、航空基地の防空を薄くすることを余儀なくされているとみられる。ポルタバの航空基地を監視していたロシア軍のドローンは、イスカンデルが撃ち込まれる前、3時間にわたって現地の一般のウクライナ人も地上から目視できていた。しかし、誰もそれを撃墜するすべがなかったのは明らかだ。
補足しておけば、ロシア側も同じ問題を抱えている。ロシア軍もまた、航空基地をウクライナ側のミサイルやドローンによる攻撃から守るのに苦労している。違いは、ロシア軍はウクライナ軍よりも基地や保有する航空機の数が多く、損失の吸収力も大きいことだ。
ウクライナは近く新たな支援を受けられる見込みにはなっている。米国は、今月半ばにも23億ドル(約3700億円)規模の新たなウクライナ向け軍事援助パッケージを発表すると予告している。これには複数の防空システムや、長射程のパトリオット地対空ミサイルシステムと中射程のNASAMS地対空ミサイルシステム用のミサイルが含まれると報じられている。
もっとも、ウクライナに新たに届くこれらの防空兵器も、航空基地ではなく都市の防御に充てられるかもしれない。アントニー・ブリンケン米国務長官は「投資が行われている地域を守るには防空体制をしっかり整えなくてはなりません」と語っている。
ウクライナ軍は、短射程の砲銃を備えたトラックを配備した防空チームを編成して、防空網の穴を埋めようとしてきた。ミルホロドとポルタバの航空基地にもそうしたチームがいたのかもしれないが、上空のドローンに気づかなかったか、気づいても撃ち落とすことができなかったようだ。
(forbes.com 原文)