欧州

2024.07.03 18:00

ウクライナ軍の航空基地にまた攻撃 Mi-24攻撃ヘリ損傷、防空網に穴

ウクライナ陸軍のMi-24攻撃ヘリコプター。2010年9月、ウクライナ西部ジトーミル(dragunov / Shutterstock.com)

1日ごろ、ロシア軍の監視ドローン(無人機)が、ロシアとの国境から150kmかそこらのウクライナ中部ポルタバ州にあるミルホロド空軍基地に、ウクライナ空軍のスホーイSu-27戦闘機6機が白昼、露天駐機されているのを発見した。

ロシア軍のイスカンデル弾道ミサイルが猛スピードで突っ込み、6機のうち2機を撃破した。これはウクライナ空軍の貴重なSu-27全体の5%ほどに当たるのかもしれない。

2日、同じようなことが起こった。ミルホロド空軍基地のすぐ東に位置し、国境から同じく150km程度しか離れていないポルタバ州ポルタバの航空基地の上空に、ロシア軍の監視ドローンが飛来した。数時間の偵察後、イスカンデルが撃ち込まれ、ウクライナ陸軍の所属とみられるミルMi-24攻撃ヘリコプター1機を少なくとも損傷させた。

何が起こっているのかは明白だ。防空システムが不足しているため、ウクライナ軍の航空基地はロシア側のドローンやミサイルによる攻撃に無防備になっているのだ。ウクライナ軍の航空基地に対するロシア軍の攻撃は昨年秋ごろ以降、どんどん激化している。ウクライナ側はこれまでに、Su-27を2機、ミコヤンMiG-29戦闘機を1機、スホーイSu-25攻撃機を2機撃破されている。さらに今回、Mi-24が撃破された可能性もある。

損耗の著しいウクライナ空軍とウクライナ陸軍航空隊にとって、とても持ちこたえられないペースの損害だ。空軍はミグとスホーイを各数十機程度しか保有しておらず、同一の代替機の確実な供給元もない。陸軍航空隊はMi-24を50機ほど保有しているが、追加で取得するのに苦労している。

たしかに、ウクライナ空軍は欧州の支援諸国からジェネラル・ダイナミクス/ロッキード・マーティンF-16戦闘機85機とダッソー・ミラージュ2000戦闘機十数機を受け取ることになっている。しかし、新たにやってくるこれらの戦闘機も現有のミグ、スホーイ、ミルと同じくらい、地上では攻撃にさらされやすいだろう。

ウクライナの防空網は危機的な状況にある。ウクライナ軍は本来なら、最も重要な基地は地対空ミサイルシステムを何重にも配備して守るはずだ。だが空軍と陸軍は、都市、大規模な部隊集結地点、ミルホロドやポルタバの航空基地など前線に近い基地を同時に守るのに苦労している。

ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を拡大した時点で、ウクライナ軍の陸軍と空軍は地対空ミサイルシステムをおよそ400基保有していた。以後2年4カ月あまりにわたる戦いで、うちおよそ140基を失い、その代わりとして新たに100基を得た。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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