デパートでも偽物が売られている? 偽造品をつかまないために
偽物との見分け方や検品のポイントを教えて頂いたが、正直なところ、素人にはかなり見分けるのは困難だ。高い金額を出して偽物を掴まされないために、一般愛好家はどのようにワインを入手したらいいのだろうか。怪しい販売経路は避け、信頼できるワインオークションやワインショップから購入すれば安心だろうか。堀氏に伺うと、衝撃の事実が発覚し、危うく膝から崩れ落ちそうになった。なんと、都内の某有名デパートのワインショップの店頭で売られていたDRC3本がすべて偽物だったケースがあるという。
「確実なのは、正規インポーターからの納入書を確認することです」。例えばDRCであれば、ファインズからの納入書に記載されたヴィンテージやシリアル番号が合っているか。面倒なようだが、それくらい徹底する必要があるのだ。
偽造対策のための最新技術
こうした偽造ワインを防ぐため、対策を施す生産者も増えている。例えばボトルにエッチングを施したり、ラベルに特殊インクを使ったり、物理的な工夫を凝らすだけでなく、IT技術を駆使した防止策を導入する例も増えている。ジャック・セロスなどが導入したのが、ワインの流通経路を追跡するNFC(近距離無線通信)チップを組み込んだラベルだ。飲み手はスマホに専用アプリ(WID)をダウンロードし、チップを読み込むことで、そのワインの情報やトレーサビリティを読み込むことができる。
ドメーヌ・ルロワなどが導入しているのが、「バブルタグ」というプルーフタグだ。
ボトルネックに貼られたシールには、QRコードと、その下に泡模様が表示されている。QRコードをスマホで読み取ると、無数の泡による模様が表示され、その泡の形状がシールのものと同一であれば本物だという証だ。また、シールを剥がさないと開封できないように貼られているため、シールの再利用は不可能となる。
ルディ事件告発のもととなったポンソも、さまざまな最新技術を取り入れている。独自に開発した偽造不可能な合成コルクや温度センサーを搭載したラベルを採用するほか、ボトルキャップには凸版印刷の開発したNFC対応のICタグ「Cachet-Tag(カシェタグ)」を採用。スマホの専用アプリでタグを読み込むと真贋がわかり、一度シールを剥がすとICタグが壊れるため読み取りができなくなる仕組みだ。
心血注いで造ったワインの名誉を汚す偽造ワイン防止に立ち向かうため、各社工夫を凝らしている。生産者の誇りと、自分の身を守るために、我々も偽造ワインに立ち向かうすべを身に着けたい。