日本で流通している偽造ワインのほとんどが、本物のワインの空き瓶を入手し、そこに偽物のワインを入れ、偽物のコルクとキャップシールで封をする方法だという。つまり、瓶とラベル(表・裏)は本物で、中身のワイン、コルク、キャップシールは偽物だ。ワインを開けて確認することはできないので、キャップシールからの情報が重要となる。
・キャップシール
フランスワインの場合、手がかりとなるのが、女性の横顔の絵が書かれた緑色のシール。これはCRD(通称マリアンヌ)といい、フランス国内で酒税を支払った証だ。ここに地区番号と生産者番号が記載されており、この番号が合っていない場合は偽物の可能性が高い。
キャップシールのデザインも重要だ。偽物の場合、デザインや穴の位置などが微妙に異なっている場合は要注意。例えばDRCの場合、何年かに一度キャップシールのデザインが微妙に変わるため、年ごとのキャップシールの違いを把握していることも、鑑定の手助けとなる。
・コルク
コルクに印字されたドメーヌ名やヴィンテージのフォント、原産地呼称などの情報も真贋を見極める重要な手がかりとなる。キャップシールに少しでも違和感がある場合や、偽造ワインが多いアンリ・ジャイエの場合、必ずキャップシールを切り、ライトを当ててコルクの焼き印と状態(熟成期間相応の状態かどうか)をチェックするという。

・ラベル
日本の場合、瓶とラベルは本物のパターンが多いのだが、例えばラベルが偽物だった場合、やはりフォントや紙質に違和感があるという。ラベルに疑いがある場合、顕微鏡で文字を拡大して活版印刷であるかどうかを確認することもある。偽物はドット印刷がなされているケースが多い。また、ヴィンテージが書かれている肩ラベルも、偽物の場合は形がいびつなことが多いという。
・ワインの澱
ワインを開けずとも、液体の見た目から判断できることは色々ある。そのために投光器を当てて液体の色をチェックし、ヴィンテージものの場合、相応の澱があるかどうかを確認する。偽造ワインの場合、古いヴィンテージであっても澱がないケースも多い。ルディの手法のように、コーヒーやエスプレッソのカスを澱に見せかけて混入していることもあるが、その場合、澱が粗いのですぐ判別できるという。
