欧州

2024.06.24 11:30

アルメニアがフランスからカエサル自走榴弾砲を取得へ 軍装備でも脱ロシア依存進める

とはいえ、これらの兵器はおそらくどれも2国間のパワーバランスを変えるほどのものではなく、当面はアゼルバイジャンの優位が続く可能性が高い。フランスが昨年10月、アルメニアへの兵器売却を「防衛的な性格のもの」と説明した際、アゼルバイジャンは偽善だと批判したが、実際のところアルメニアがフランス製兵器をアゼルバイジャンに対する攻撃作戦で使うとは考えにくい。

というのも、アルメニアは兵器調達先の多角化に取り組むかたわら、アゼルバイジャンとの包括的な和平協定の交渉や、アゼルバイジャンおよびその最大の後ろ盾であるトルコとの関係正常化も進めているからだ。5月下旬、アルメニアは国境画定プロセスの一環で国境の4つの無人の村をアゼルバイジャンに返還し、国内で現政権に対する抗議行動を招いた。両国の間にはほかにも懸案があるものの、これらの村の平和的な引き渡しは両国の和平や関係正常化に向けて大きな一歩になる可能性がある。

アルメニアによる最近の兵器調達は軍の長期的な再構築の一環であり、この軍改革は、西側と経済、軍事、政治の各面で関係を緊密化し、長年続けてきたロシア依存を軽減していくというアルメニアの目標と連動して進められている。アゼルバイジャンとの国境画定は、両国の積年の敵対関係と緊張の終結に向けた大きな一歩となるものであり、西側との関係強化、ロシア依存からの脱却という目標の実現を早めることにも寄与するだろう。これらが進展すれば、アルメニアにとって2020年代後半は前半よりは明るいものになるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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