2023年、アルメニアは、前年にインドに発注していたピナーカ多連装ロケット発射機を受領したと報じられた。このときもアゼルバイジャンは非難している。
アルメニア軍は2020年の戦争で、アゼルバイジャン軍のイスラエル製とトルコ製のドローン(無人機)によって戦車を少なくとも241両破壊された。イスラエル製のハロップ徘徊弾薬(自爆ドローン)では、アルメニア本土内に配備していた旧ソ連製の複数のS-300地対空ミサイルシステムも攻撃されている。こうした大きな損害を踏まえれば、アルメニアが以来、フランス製やインド製のシステムの導入による防空能力の強化に動いたのは当然だろう。
アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフ全域を掌握してからわずか数週間後の2023年10月、フランスはグラウンド・マスター200(GM200)レーダー3基、さらに将来的にミストラル短距離対空ミサイルをアルメニアに売却すると表明した。ルコルニュは当時、「防空は絶対的に重要なものだ」と発言している。
同年には、アルメニアがインドに、ゼン対ドローンシステムとアカシュ中距離地対空ミサイルシステムを発注したという報道もあった。
アルメニアはさらに、アカシュの新世代型であるアカシュNG、インドとイスラエルが共同開発したバラク8(MR-SAM)地対空ミサイルの調達も検討しているもようだ。バラク8はアゼルバイジャンがすでに運用しており、2020年の戦争ではそれを用いてアルメニア軍のロシア製イスカンデル短距離弾道ミサイルを撃墜したと報じられている。アルメニアはバラク8によって、アゼルバイジャン軍のイスラエル製LORA準弾道ミサイルに対抗しようという考えなのかもしれない。