欧州

2024.06.24 11:30

アルメニアがフランスからカエサル自走榴弾砲を取得へ 軍装備でも脱ロシア依存進める

フランス陸軍のカエサル155mm自走榴弾砲。2019年6月、ポーランド・ケントシン(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

フランス陸軍のカエサル155mm自走榴弾砲。2019年6月、ポーランド・ケントシン(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

アルメニアは兵器調達先の多角化や軍の再構築を進める取り組みの一環で、フランスにカエサル自走榴弾砲を発注した。アゼルバイジャンとロシアは非難している。

フランスのセバスチャン・ルコルニュ軍事相がX(旧ツイッター)への投稿でこの契約を発表し、アルメニアとの「防衛関係」で「新たな重要なマイルストーン」になったとたたえた。

アゼルバイジャンとロシアはさっそく反発した。アゼルバイジャン国防省は声明で、アルメニアへのカエサル売却はこの地域での「フランスの挑発的な行動のさらなる証拠」だと主張した。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官も、フランスは「南コーカサスで新たな武力衝突をあおっている」と非難した。

アルメニアにとって、2020年代はすでに厳しい試練の10年になっている。2020年、アゼルバイジャンが、自国の国境線内にあり、アルメニア系住民が多数を占めていたナゴルノ・カラバフ地域の奪還をめざす攻撃作戦を始め、6週間の戦いでアルメニア軍に決定的な軍事的打撃を与えた。死者は双方の合計でおよそ6000人にのぼった。さらに2023年9月、アゼルバイジャンは24時間の電撃的な作戦でナゴルノ・カラバフ全域を手中に収め、住民12万人がアルメニアに逃れることになった。

アルメニアは、伝統的な支援国で防衛協定も結んでいるロシアについて、もはや信頼できない、それどころか、あからさまに二枚舌を使っていると結論づけざるを得なくなった。アルメニアは今月、ロシア主導の軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)から脱退する方針を明らかにした。また、軍の装備に関しても、ロシアへの高い依存度を徐々に下げていこうとしている。

後者は時間がかかりそうだ。2011〜20年、アルメニアは主要兵器の94%をロシアから輸入していた。ロシアからの兵器購入では割引価格を受けられることも多かった。アルメニアは2019年、ロシアからSu-30SM戦闘機4機も取得している。Su-30SMはアルメニア軍運用する航空機としてはこれまでで最も高度なものである。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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