同グループは、アゼルバイジャンが昨年12月以降、ナゴルノカラバフとアルメニアを結ぶ唯一の道路であるラチン回廊を封鎖していることで、飛び地であるナゴルノカラバフの住民は「食料品や医薬品、衛生用品の深刻な不足に陥っており、医療機関や教育機関の機能にも影響が及んでいることから、特に子どもや障害者、高齢者、妊婦、病人を含む住民の命が重大な危険にさらされている」と強調した。
現地では医薬品の備蓄が枯渇しつつあり、病院の医療提供にも支障が出ているという。国連の専門家はアゼルバイジャンに対し、2020年11月に結ばれたアルメニアとの停戦合意に従い、ラチン回廊における人、車両、貨物の自由で安全な移動をただちに回復するよう求めた。
ラチン回廊は昨年12月12日以降、ナゴルノカラバフの天然資源の違法採掘疑惑問題を巡って抗議しているとされるアゼルバイジャンのデモ隊によって封鎖されている。この封鎖により、食料や燃料、医薬品を含む人や物資の通常の出入りが滞り、ナゴルノカラバフでは物資不足が起こっている。封鎖開始から8カ月が経過し、ナゴルノカラバフの住民の状況はただちに対応が必要な人道的緊急事態となっているが、アゼルバイジャン側は事態への対処を求める声を無視し続けている。
欧州人権裁判所は昨年12月21日、裁判所規則第39条に基づき、アゼルバイジャン政府に対し、アルメニアで治療を必要とする重病患者や、避難所や生活手段を持たないまま路上に取り残された人々のラチン回廊の安全な通行を確保するため、あらゆる措置を講じるよう指示することを決定した。
国際司法裁判所は2月、アゼルバイジャンがラチン回廊の封鎖を停止するよう暫定措置を命じた。この命令には拘束力があり、アゼルバイジャンは本件の最終決定が出るまで、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(CERD)に基づく義務に従い、人、車両、貨物がラチン回廊を双方向に妨害なく移動できるよう、あらゆる措置を講じなければならない。ところがアゼルバイジャンは命令に従わず、同回廊は現在も封鎖されたままだ。