この原稿を執筆している時点で、長男の産休に入って10週間になる。中国共産党(CCP)がイスラム教少数民族のウイグル人に対して行っているジェノサイド(集団虐殺)や人道に対する罪の重大さと残虐さはかねて知っていたが、息子を授かったことで、親子を引き離す中国共産党の戦略の邪悪さを改めて認識している。
中国における信教の自由の迫害と人権に関するオンライン雑誌『
Bitter Winter(ビター・ウィンター)』は今月4日、「
ウイグルの子どもたちの教化と軍事化が動画で明らかに」と題した記事を掲載。5~11歳のウイグル人少年が「人民解放軍が大好き」「人民解放軍に入隊したい」と言わされている動画3本が公開されたと報じた。子どもたちはいずれも、ウイグル語ではなく中国語で話している。中国共産党の幹部に仕向けられた発言だという。
この少年たちは、親元から引き離されて「寄宿学校」や「寄宿幼稚園」と呼ばれる施設に入れられた推定
90万人のウイグル人の子どもたちのほんの一例にすぎない。こうしたプログラムの存在は、中国研究者の
アドリアン・ツェンツの綿密な研究によって以前から知られていたが、今回明らかになった動画は、中国共産党による洗脳の本質を証明するものだ。
中国共産党がウイグル人の家族を引き裂こうとしているのは周知の事実であり、その究極の目的は「家族」を「党」に置き換えることだ。子どもたちの中には、両親が中国共産党の政治犯収容所に超法規的に収監され、事実上の孤児となってしまった者もいる。政治犯収容所には
180万~
300万人が収容されているとみられる。また、両親が
集団強制労働プログラムによって中国各地に送られた事例もある。中国共産党がウイグル人女性に
中絶や不妊手術を強制しているため、生まれてくることさえできない子どももいる。