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2023.02.23

中国ソーシャルメディアがChatGPTをブロック、プロパガンダ拡散を警戒

Getty Images

中国の国営メディアが、米国のプロパガンダに利用される可能性があると報じた数日後、北京の規制当局は、OpenAI(オープンAI)のChatGPT(チャットGPT)や、AIチャットボットを搭載したサービスへのアクセスを、自社のプラットフォームで提供しないよう、中国のトップテック企業に命じたと日経アジアが報じた。

日経アジアによると、規制当局はWeChat(ウィーチャット)の親会社であるTencent(テンセント)とAlibaba(アリババ)傘下のAnt Group(アントグループ)に対し、ChatGPTに自社のサービスで直接、あるいはサードパーティアプリを通じてアクセスできないようにすることを命じたという。

海外の主要なウェブプラットフォームと同様に、ChatGPTは中国の検閲法に準拠していないため、中国の「グレート・ファイアウォール」によってブロックされている。

Tencentによって削除される前に、WeChatのサードパーティアプリを通じて、一部のユーザーがチャットボットにアクセスできるようになっていたと、同レポートは付け加えている。

ChatGPTへのアクセス遮断以外にも、中国のテック企業はAIを搭載した独自のチャットボットや同様のサービスを開始する前に、規制当局の許可を得るよう命じられている。

ForbesはOpenAIにコメントを求めている。

今週初め、国営紙チャイナ・デイリーが「米国はAIを使ってどのように偽情報を流しているか」と題した動画を公開し、ChatGPTが米国のプロパガンダツールであるというレッテルを貼ろうとした。動画では、ChatGPTが新疆ウイグル自治区に関する質問に応じ、同自治区のイスラム系少数民族ウイグル族に対する中国による広範な人権侵害の報告に言及する様子が映し出されている。動画はこれを「米国政府の主張に沿った回答」としている。そして、ChatGPTやその他のAIプロジェクトが、米国や西側による大規模な偽情報を助長するものであるとしている。

2月初め、中国の検索大手Baidu(バイドゥ)は、独自のAI搭載チャットボットErnie(アーニー)を開発中であることを明らかにした。Baiduによると、2019年からこのツールの開発に取り組んでおり、3月に社内テストを終え、同月末に一般向けにサービスを開始する予定だという。ロイターによると、ErnieはまずChatGPTの展開と同様のスタンドアロンサービスとして立ち上げられた後、Baiduの検索エンジンに統合される予定だという。今回の規制当局の命令によって、このスケジュールにどのような影響が出るかは不明だ。

中国のテック企業がAI分野のリーダーになろうとしているという以前の報道にもかかわらず、ChatGPTのようなツールの開発で大きく遅れをとっているのではないかという懸念が中国国内で浮上している。ニューヨーク・タイムズによると、ChatGPTとその人気は、中国のテック企業家に「衝撃」を与え、検閲法とテック業界に対する政府の管理強化により中国が遅れをとっているのではないかという懸念を引き起こした。数カ月にわたるコスト削減とレイオフの後、Baidu、Alibaba、NetEase(ネットイース)を含む多くの中国のトップテック企業は現在、ChatGPTの立ち上げに対応するため、独自の類似プロジェクトで奮闘していると、フィナンシャルタイムズは報じている。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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